えびの市の建築工芸家、川野幸三さんが、国の「現代の名工」に選ばれました。
「現代の名工」が宮崎県内から選ばれるのは3年ぶりです。木を愛してやまない川野さんの思いを取材しました。
えびの市の山奥にたたずむ廃校になった小学校。
ここにアトリエを構えているのが、宮崎市出身で建築工芸家の川野幸三さん(82歳)です。
(建築工芸家 川野幸三さん)
「やっぱり木はね、呼吸をしているから、人間の生活の中に入っていくというのはすごく安らかになるというか」

およそ50年にわたり木材を使った建築や家具の制作に携わってきた川野さん。
デザイン性のほか木材の加工技術が評価され、これまで様々な賞を受賞してきました。



特に、薄い板を重ねて一つにする集成材の技法は、作品に多く用いられ、川野さんの右に出る職人はいないとされています。
(建築工芸家 川野幸三さん)
「量産物の製材メーカーはあったが、だけど特殊なものについては僕以外でやる人はなかなかいなかった。(集成材の)良さは曲がらない、割れない」


御年82歳の川野さん。現役の職人として創作活動を続けています。
今年5月、都城市にオープンしたこちらのレストラン。
カウンターやいすなど、家具のほとんどが開店に合わせて作られた川野さんの作品です。
また隣接する車のショールームにも川野さんが手掛けた机が置かれています。



(徳石石油 野間登志子専務)
「川野さんがこの木を選ばれて、『この木で作るよ』と言われて、見えるんですよね、背景が。この4枚が放つあたたかさとか愛とか歴史とか、優しさを感じる」
自分の作品が人にわたることで、木の歴史が新しく始まると話す川野さん。
これからも木の持つすばらしさを多くの人に届けます。
(建築工芸家 川野幸三さん)
「いろんなことをしながら、自分がどこまで行けるのかを知らないけど、これからどんな木と出会って、作っていけるか、人が喜ぶものを作って行きたいしね、そうでありたいですね」
(記者)
「木の虜ですね」
(川野幸三さん)
「僕は木の話をさせたら、ずっとしますよ(笑)」

(スタジオ)
川野さんは、アトリエでは木工作品を作る教室を定期的に開催しているほか、今月19日から5日間一般開放するそうです。
ぜひ、木のぬくもりに触れてほしいということでした。