伸介被告「生活保護は車を手放す必要があると思い、ためらわれた」

論告求刑公判で検察側は、伸介被告の動機について「生活保護は車を手放す必要があると思い、ためらわれた」という供述を取り上げたうえで「他の有効な生活手段を選択する努力をしていない」、昭一さんひとりであれば十分に年金生活を送ることができたにもかかわらず、伸介被告が昭一さんの年金をあてにして自立していなかったことが住居の明け渡しまで至った原因だと主張しました。

また「電気や水道、ガス、伸介被告と昭一さんの携帯電話は停止しておらず、必要な料金が支払われていた」「車検も通していた」という点から、「住居の賃料支払いを怠っていたのは管理会社が法的措置をとらないという根拠のない楽観さから支払いをセーブしようとした」として、「明渡しに至る経緯は同情に値しない」と述べました。

さらに検察側は、昭一さんが自力で歩行でき、買い物や自炊もできるなど生活能力を保っていたことから「いわゆる介護疲れと評価できる事実はない」。

昭一さんは、持病があるものの治療意欲が高く、「実子に殺されて人生を終えるという悲惨な最期を遂げた」「余生を突然奪われた昭一さんの無念は察するに余りある」と述べていました。