ナナの母親役、ユウコの死でした。ナナは最年長のユウコを信頼し、ユウコも、ナナにチンパンジー社会を教え、見守ってきました。

当時の飼育員
「何か、元気ないですね。ショボンとして…いつも守ってもらったユウコさんですからね。落ち込んで…少しは今、回復したんですけどね」
ナナは、国内でも有数の個体数を抱える東京・多摩動物公園へ引っ越しすることが決まりました。気が合うオスを見つけて子作りに専念するためです。
園がナナの出産を期待するのには理由がありました。ナナは国内にいるチンパンジーと血のつながりがないからです。近親交配をさけるためにもナナの子どもが待ち望まれたのです。

麻酔で眠らされ、身体のチェックを受けると箱に入れられていきます。
安佐動物公園飼育技師・谷口伸広さん
「ナナは好奇心が強いのでさっきも出かけるとき機嫌が良かったんですよ、こんな特殊な状況なのに。だからもしかしたら(多摩動物園でも)ノリノリで楽しんでくれるかもしれないので、心配半分楽しみ半分という感じですね。(安佐動物公園で)育児の様子をしっかり見て学習しているし、こどものチンパンジーと一緒に遊んであげるのが好きみたいで、自分に子どもができてもしっかり育ててくれるのではと思う」
動物園を訪れた人にたくさんの笑顔をくれたナナ。生まれ育った安佐動物公園を旅立ちます。

初めてだらけの毎日に不安もあるかもしれません。それでもマイペースで新しい生活を楽しんでほしい。ナナ、元気でね!