沖縄を「線」で伝えたい

ー沖縄の視点で描かれることで、観る人は、より身近な問題だととらえることができるように思います。佐古監督がジャーナリストとして、大切にしている視点は。

(佐古忠彦監督)
「これまでは、外からの視点を大事にしようと思っていたんですけど、今回は、沖縄からのメッセージというつもりで作ったんです。日本をみるときの見方を『線』で考えるような作り方をしたいと」

「本土からみると、もう終わった問題のようにみえる。でも、沖縄の人たちにとっては現在進行形で、いまもなお続いている話だし、最近も政治家の歴史を否定する発言が相次いでいるわけですけど、それも含めて『線』で続いているということ」

「常にそういう視点でものをみて、伝えていくことを心がけたいと思っています」

ー膨大なニュース映像から、映画を作り上げる難しさもあったのではと想像します。

「今回は、琉球放送の30年のニュース映像を総ざらいするところから始めたんですが、自分たちが目撃してきたことでもあるし、自分たちが伝えてきたニュースもそこにたくさんあるんですけど、『点』を編集でつなげると、それこそ『線』につながるんですよね」

「ひとつの『点』でしかなかったことが、どんどんつながって、大田氏と翁長氏の人間としてのつながりや接点がみえてくることもありました。過去の映像や過去の証言が、今の問題を伝える材料として、すごく大事になってくる、そういう時代になると思いました」

ーこの映画をどんな人に届けたいですか。

(佐古忠彦監督)
「沖縄上映では、1万人以上の方にご覧いただけています。涙をぬぐいながら見ている方や、『沖縄の心を代弁してくれてありがとう』という声があって本当に嬉しいです」

「一方で、沖縄県以外の人がこの映画をどう受け止めてくれるのか。映画の中には、大田知事(当時)の『日本人は醜い』というような厳しい言葉も散りばめているんですが、沖縄を放置してきた側が、この問題をどう考えるのかを改めて問いかけたいという気持ちです」

「今回の映画は、若い人がよく観てくれていて、40代以上の感想には『悔しい』などが多いんですが、20代の女性からは『先輩たちはこんなに頑張っていたんですね。私は希望が見えました』といわれて、そういう見方もあるんだと」

「映画は、制作者の手から離れると、『観る人に育ててもらう』面があると思います。そういう意味でも、若い世代にぜひ見てほしいです」

映画「太陽の運命」は、シネマ・クレールで7月3日まで10時~、7月4~10日までは12:05~上映の予定です。

あす(28日)は佐古監督の舞台挨拶が予定されています。