基地問題を巡って国と激しく対峙した2人の沖縄県知事を描いた映画「太陽(ティダ)の運命」の上映が、きょう(27日)、岡山市北区のシネマ・クレールで始まりました。
「ティダ」とは、かつての沖縄で首長(リーダー)を表す言葉です。映画は、第4代知事の大田昌秀氏と第7代知事の翁長雄志氏、2人の「ティダ」を描いています。
もともと、2人の政治的な立場は正反対。互いに反目していました。しかし、長い時を経るなかで、基地問題をめぐり国と対峙する2人の姿勢は重なり合います。
大田氏は、1995年、軍用地強制使用の代理署名拒否。一方の翁長氏は、2015年、辺野古埋め立て承認の取り消しによって、国と法廷で争い、民主主義や地方自治のあり方、この国の矛盾を浮き彫りにしました。
映画「太陽の運命」は、RBC琉球放送とTBSが共同制作したものです。RSK山陽放送を訪れたTBSの佐古忠彦監督に聞きました。

「沖縄からの視点で日本の現在地をみる」
ーなぜ、この2人の知事を描こうとしたのでしょうか。
(佐古忠彦監督)
「いままで、戦争や戦後の歴史を描いてきたんですが、今回はそこから連なる現代史をやりたいと思っていたんです。それをやるなら、沖縄県知事を通してみると、他府県の知事の抱えているものとは中身が違うとみていましたので。基地の問題に取り組む沖縄県知事を通して、いろんなものが見えてくるだろうと思っていたんです」
「なかでも、国との関係は、30年に及ぶ辺野古を巡る歴史に焦点をあてると、色濃く出るだろうし、その起点にいた大田さんと、最初は推進していたけれど結局は苦悩して現職のまま亡くなる翁長さんの2人は欠かせない存在だと思ったんですね」
「2人はもともと反目していて、でも時を経ると、言葉も歩みもどんどん重なってゆく。それは、なぜなのかをぜひ紐解きたいと思ったし、そこにこそ沖縄の歴史があるし、もっといえば、国は沖縄にどう相対してきたのか。答えがそこにあると思ったからです」
「2人を描くことで、沖縄そのものも見えてくるし、国の姿も見えてくる。だからこの2人に焦点をあてたいと思いました」
ー沖縄に関心を寄せたきっかけは?
「筑紫哲也さんが何気ない日常会話の中で『沖縄に行けば日本が見える。この国の矛盾がいっぱい詰まっているぞ』といったことがすごく印象に残っていて。確かに、沖縄の視点でみると、本当に矛盾だらけで不条理な世界が広がり続けている。それをひとつひとつ取材していくと、気づけばこんなに時間が経っていたという」
「本土側からみると『点』でしかないけれど、沖縄の視点で戦争、占領の歴史、復帰してから苦難が続く歴史をみていくと、全部繋がっているんですね。『線』になる。その視点でみると、国の矛盾がみえてきます」