鹿児島県薩摩川内市の高校生らによる1日限定の高校生食堂がこのほどオープンました。去年に続き、2回目の今回もメニューや食材選び、接客やPRなどすべてを手掛けた高校生たち。やりがいとともに仕事の厳しさも知った3か月を追いました。
「甑島を感じられるフレッシュな食堂で、お客様を笑顔にする高校生食堂オープンです」
薩摩川内市で先月、1日限定でランチタイムにオープンした2回目の高校生食堂です。メニューと食材選び、調理、接客、宣伝すべて高校生が行い、146食は発売当日に完売しました。
料理は2種類。和食の『にぎわう“コシキ”お膳』と洋食の『Ricedeコシキ気分』。いずれもキビナゴやタカエビなど甑島を中心に市内の食材を使いました。
(客)「めちゃめちゃおいしい。価格に負けないおいしさをすごく感じる」
(客)「自分も(高校生なら)やりたかったなあと思う」
プロジェクトが始まったのは3か月前。今回16人が参加しました。参加者のひとり、れいめい高校2年の中野結珠さんです。PR班としてSNSやパンフレットなどの宣伝を担い、本番ではレジを担当します。
(中野結珠さん)
「プロの大人に直接関わることができるので、普通の高校生活を送っているだけでは絶対こういう経験はできないと(参加した)」
父親・稔さんは…
「(就職すると)みんな直面すること。そこで挫折したりつまずいたり。体験させてもらっていること自体、本当にいいこと」
高校生たちは調理や接客などの現場も体験し、準備を重ねました。そして、実際に招待客を入れたプレオープンに臨みました。
しかし、本番と同じく客が3回入れ替わる2回目のプレオープンでは連係ミスが重なり、客に料理が出るまで45分の遅れがでてしまいました。
そんな中、レジ担当の中野さんは…周囲に目を配り人手が足りないとみるや、指示を出し始めました。
(中野結珠さん)
「先輩もいて気が引けるけれど、誰かがしないとうまくいかないなと思ったので、バンバン指示を出した」
本番4日前の最終打ち合わせ。このとき高校生食堂は課題に直面していました。料理を作る調理班5人のうち、メインの2人が学校行事のため本番に参加できなくなってしまったのです。
『事前の準備で何とかしのぐ』、高校生の判断に大人がひとつ提案しました。
それは、今回みんなに自主的に動いて欲しいとあえて設けないままだった全体運営・リーダーの設置でした。
(上水樽洋平さん)
「頻繁に質問を大人に投げかけていて、これでは主役が自分たちではなくならないか?自分たち(高校生)の中でこの人が(リーダーと)決めて、こういったら決定という段取りを決めて欲しい」
リーダーを決めるとの提案に応えたのは、前回その役目を担った大原美優さんと、初参加の中野結珠さんの2人でした。
2人はさらに、高校生食堂が今後、継続するためにも2年生の中野さんがリーダーに、3年生の大原さんはサポートに回って欲しいと提案されました。
(れいめい高校3年・大原美優さん)
「(Q彼女でできると思う?)リーダーですか?完璧です」
(中野結珠さん)
「ちょっと不安だけれど、やると決めたからにはがんばります」
そして迎えた本番。いよいよ高校生食堂オープンです。客の中には、中野さんの父親の姿もありました。
しかし、このとき2回目に向け、厨房では和食の調理時間が押し始めていました。
(川内ホテル・古川健太さん)
「和食が手がかかる。(2回目は)28食なので、そこがきょうの一番の山場」
結局2回目は、最長で30分の遅れが出てしまいました。最後の3回目を前に開かれた緊急ミーティング。スタート時間を15分遅らせることが決まりました。中野さんは悔し涙をこらえきれません。
(中野結珠さん)
「責任者を任されていながら、遅れを出してしまったということに結構(気持ちが)来ちゃって悔しかった」
その後、最後の3回目はスタート時間こそ15分遅らせましたが持ち直し、全員一丸で料理を提供。中野さんも厨房に入りサポートしました。
客として訪れた教師は、中野さんがリーダーと聞くと…
(れいめい高校 内倉友理佳教諭)「自分を出し切れない部分があったので、すごくうれしいこと」
最後の支払いが終わり…「お客様お帰りです!ありがとうございました!」
(中野結珠さん)
「客を待たせてしまうということが、一番したくなかったことだった。すごく責任感があった。そのあとみんなで協力して立て直して行けたので良かった。
つらいなと思うことももちろんあったし、うれしいなと思うことももちろんあって、本当に充実した3か月間だった」
(大原美優さん)
「中野さんが(リーダーとして)出てきてくれたことがうれしい。当日もいい働きをしてくれて、次につなげられた高校生食堂だった」
仕事の厳しさそして、自らの生き方にも向き合った高校生たち。高校生食堂の3か月が終わりました。
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