アメリカ軍が行ったイラン核施設への攻撃について、イランの核問題に詳しい長崎大学の樋川教授に核兵器使用のおそれなどを聞きました。

長崎大学の核兵器廃絶研究センターRECNAの副センター長、樋川和子教授は元外交官で、核軍縮と核不拡散が専門です。

IAEA・国際原子力機関の理事会議長の補佐や、2007年のNPT再検討会議準備委員会で天野之弥議長の補佐を務めました。

アメリカがイランの核施設を攻撃したことについての受け止めは―

残念です。一言で言うとちゃんと出口戦略を考えているのかなと。イランによる秘密裏の核活動が2002年に発覚して、それ以降ずっと国際社会はイランの核問題としてこれを解決するために、国連安保理決議でもいくつも制裁決議を採択してイランに圧力かけてきたわけですね。でもイランはそんなことに屈しないでもう20年以上経つ。そういう国を相手に圧力でと考えるのはやっぱり間違いかなと。本当にアメリカは圧力によって武力攻撃によってイランが核開発を断念すると考えているのかしらっていうのが、本当に私にとっては謎です。

核開発についてイランの立場は―

核兵器開発ではなくて、彼らに認められた権利を彼らは行使してるだけっていうのがイランの立場です。というのは、核物質の濃縮というのは低濃縮であろうが高濃縮であろうが国際法で禁止をされてないわけですよね。NPT(核兵器不拡散条約)も原子力の平和利用の権利というのをきちんと認めていて、それはNPTの重要な三本柱の一つで、この原子力の平和利用の権利を認めたからこそ、核兵器を持っていないいわゆる日本やイランを含む非核兵器国は核兵器を持ちませんという約束をして、そしてNPTに入ったわけですよね。だから、ある意味それはイランにとっても譲れない一歩なわけです。自分たちは濃縮する権利があると。