性感染症「梅毒」の患者の広がりに歯止めがかからない。2022年の患者は全国で1万人にのぼり、統計を取り始めてから最多を更新した。要因の1つとして考えられるのが“ヤリモク”。マッチングアプリを通して、性交渉を主たる目的として出会いを求めることだ。不特定多数との性行為が“カジュアル化”していることが、感染がおさまらない背景にありそうだ。梅毒は現代医療をもって正しく治療すれば治る病気ではあるものの、気づかないまま放置すると重篤な症状に陥る。妊婦が感染すると流産や胎児の後遺症につながることもあるおそろしい病気だった―。

◆キスでも感染、発疹やけんたい感

手のひらや足の裏に広がる赤い斑点。性感染症の一つである「梅毒」に感染した患者の写真だ。梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症で、キスや性行為によって広がる。主な症状として、全身に発疹が出るほか発熱やけんたい感が現れることもある。日本性感染症学会の理事を務める医師によると、梅毒は自覚症状が出にくいため気づくのが遅れるケースが多いという。

日本大学産婦人科・川名敬教授「梅毒の怖いところは、症状が1回出ても勝手に消えていく潜伏期っていうのに入りますので、そうすると一見、治ったようになってしまいます。でも実は感染力があって、そこでまたうつっていることもあります」