全国にあって、ほとんどが“入場無料”という「大学博物館」。その魅力とは?

全国187か所にある大学博物館

「すごい!こんなに迫力があるんですね!」

体長17.1メートル。まるで目の前を泳いでいるかのように出迎えてくれたのは、北太平洋に生息するセミクジラの全身骨格。

国内唯一の海洋系大学、東京海洋大学の『マリンサイエンスミュージアム』(東京・港区)では、他にもホッキョクグマやペンギンなど様々な海の生物の標本やはく製が見られます。

さらに、漁業の道具や缶詰用の缶なども含め約2000点を展示。外に出れば、全長41メートルで“現存する最古の国産鋼製船舶「雲鷹丸」(登録有形文化財)も見ることができます。

これだけ貴重なものが揃っているにも関わらず、入場は無料!

館長・茂木正人さん:
「生物の多様性や生態系といったものを理解するのに役立てれば良いかなと思っています」

このように、全国187か所(※新訂 大学博物館辞典/日外アソシエーツより)にある「大学博物館」はほぼ全てが無料。
その魅力を、大学博物館の本を出版し15年以上取材している大坪さんに教えてもらいました。

大学博物館ライター・大坪 覚さん:
「全国の都道府県に大学博物館があり、ほとんどが無料なので気軽に足を運ぶことができる。一般の博物館と何ら変わりはなく、むしろ最新研究の裏付けがあるのでより面白くなっている」

「ギロチン」や「拷問具」の数々を展示

大坪さんおススメの1つは、JR御茶ノ水駅から徒歩5分の『明治大学博物館』(東京・千代田区)。

大学博物館ライター・大坪さん:
「ここでしかみることができない“とってもレアな展示品”があって、これはちょっとびっくりします」

館内は商品・考古・刑事と3つのジャンルに分かれていますが、なかでも刑事部門では、“日本で唯一のギロチン”が見られます。

18世紀末にフランスで導入された処刑道具を再現したものです。上から落ちる刃もついていて、縮尺模型ながら少し恐怖を覚える大きさです。
しかし、なぜこんな怖いモノが…?

学芸員・日比佳代子さん:
「最初が法律の学校として始まっているので、研究するにしても実際に物を見ながらの方が良いのではと様々な道具を収集する博物館ができた」

他にも、膝の上に石板を置く拷問道具「石抱拷具」や、明治初期に採用されていた絞首刑の道具「絞罪柱」なども展示。

“処罰の展示が見たくて来た”という中1男子は、「他の博物館で刑罰とかを扱っているところは見たことがない。明治大学に入って色んな教育とか受けて将来活躍したいなって思った」と満足気です。