緊張が続く中東情勢です。イランの核施設への攻撃に踏み切ったアメリカは改めてその成果を強調した一方、イランの国会は原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖を承認しました。

アメリカ ヘグセス国防長官
「イランの核開発の野望は完全に打ち砕かれた」

アメリカのヘグセス国防長官と制服組のトップ・ケイン統合参謀本部議長は22日、イランへの攻撃で7機のB2爆撃機が14発の大型の地中貫通弾「バンカーバスター」を投下したことを明らかにしました。この型の「バンカーバスター」を実戦で使うのは初めてだとしています。

作戦は「ミッドナイト・ハンマー」と名付けられていて、B2爆撃機はアメリカのミズーリ州から空中給油などを受けながら、イランまで片道18時間かけて飛行したということです。

中東でアメリカを巻き込んだ形での衝突の拡大が懸念されるなか、バンス副大統領はアメリカメディアに出演し、このように強調しました。

アメリカ バンス副大統領
「我々はイランと戦争をしているのではない、イランの核開発計画と戦争しているのだ」

「我々は長引く紛争に関心はないし、地上戦にも関心はない」としています。

記者
「『イランで戦争はしないんだ』と、声をそろえて、大きな声をあげています」

ニューヨークのタイムズスクエアではデモが行われ、集まった人たちは政権への抗議の声をあげました。

参加した人
「トランプ大統領は私たちを新たな戦争に引きずり込みました。それを止める唯一の方法は、反対して立ち上がることだと思っています」

アメリカはイランを攻撃しつつもハメネイ師を頂点とする体制の転換については意図していないと、これまで説明してきましたが、トランプ大統領は22日、体制転換が起きる可能性に触れた発信をしました。

SNSで「“体制転換”という言葉を使うのは政治的に正しくないが、イランの現在の政権がイランを再び偉大にできないのであれば、なぜ体制転換が起こらないのだろうか?」と書き込んでいて、ハメネイ師に対して核放棄に応じるよう、圧力を強めた発信とみられます。

そのイランでは、国会が原油輸送の要衝ホルムズ海峡の封鎖を承認したと、国営メディアが報じました。最終的な決定は、最高安全保障委員会の判断が必要になるということです。

日本の原油輸入の9割がホルムズ海峡を通るとされていて、封鎖されれば日本をはじめ世界に大きな影響を与えるのは必至です。