政治の転機?“巳年選挙”とは

小渕恵三 官房長官
「新しい元号は平成であります」

昭和から、平成の幕が開けた1989年の「巳年選挙」。前年に発覚したリクルート事件で、政官財の癒着が明るみに。国民の政府不信が高まる中、4月の消費税導入もあって、与党自民党への逆風が強まっていました。

宇野宗祐 総理大臣(当時)
「公の場でお答えすることは差し控えたい」

6月には、就任直後の宇野総理の女性スキャンダルが国会でも取り上げられます。こうした中迎えた都知事選。社会党は土井たか子委員長のもと、女性候補を数多く擁立。“おたかさん人気”もあって、社会党は議席を3倍近くに増やします。

土井たか子委員長(当時)
「ウーマンパワーが前からあったが いよいよ火がついて動き始めた。政治は変わっていっている

その言葉通り、直後の参院選でも大躍進を遂げ、 「マドンナ旋風」と呼ばれました。

土井委員長(当時)
山は動いてきた。だんだん山は動いている」

そして…

自民党 橋本龍太郎幹事長(当時)
「ちくしょう、またひらいたか」

歴史的大敗を喫した自民党は、結党以来初めて参議院で 過半数を割り、長期にわたる「ねじれ国会」が始まります。

その後、過半数を得るための連立工作が盛んに行われ、非自民8党派による細川連立政権が誕生。戦後長く続いた自民党と社会党による55年体制が終わりを迎えたのです。

そして2001年の「巳年選挙」には…

自民党 小泉純一郎衆院議員(当時)
「この自民党の派閥論理こそぶっ壊さなきゃならない」

4月に小泉政権が誕生。歯切れの良い刺激的な言葉で国民を魅了し、高い人気を獲得。都議会選でも小泉フィーバーを起し、 自民党が圧勝

参院選でもその勢いをかって改選議席を上回る勝利を収め、 「小泉改革」を強力に後押しする形となります。さらに…

小泉総理大臣(当時)
「この郵政民営化、必要ないのか。国民に聞いてみたい」

その勢いは「郵政民営化」を旗印に掲げた衆院選へつながります。党内の反対議員らを「抵抗勢力」と位置づけ、選挙をドラマチックに盛り上げる「小泉劇場」のもと、またも選挙に圧勝。

争点をひとつに絞る「ワン・イシュー選挙」とも称された手法は、その後の日本の政治に大きな影響を及ぼしました。