活動を始めた当初は、青森県内で飼育されているヒツジの存在を知らず、海外から輸入した羊毛に頼っていたそうです。


※aomoriwool 中川麻子代表
「材料としか見えていなくて。どうしても羊の毛に思えないんです。あまりにもきれいすぎて。青森で育っているヒツジは身体も大きくて毛もたくさん取れる。一頭一頭の毛のキャラクターが違うのが魅力です」


ことし5月に刈り取られた毛を見せてもらいました。


※aomoriwool 中川麻子代表
「これ洗う前のです。泥とかもついているんだけど」

※高山キャスター
「すごい、空気含んでてふわふわですね。このふわっと感」


※aomoriwool  中川麻子代表
「そう、戻るんですよ。かさ高いんです」


サフォークの毛は毛玉ができにくく、洗濯しても縮みにくいなど耐久性に優れ、ストールや椅子用マットなど普段使いの作品に適していると言われています。
aomoriwoolに羊毛を卸している八戸市の牧場です。牧場主の愛情を受ける40頭のサフォークのヒツジが飼育されていました。


実はこの羊毛、aomoriwoolが注目する前までは、1年で刈り取った約30キロ分、全てを廃棄していたそうです。

※aomoriwool 中川麻子代表
「食肉羊は肉だけってなんかかわいそうすぎるよねって。私たちは毛だけでも使わせてもらってすごくありがたい」


牧場から仕入れた羊毛はまずはお湯で洗っていきます。泥がたくさんついていた羊毛は、洗う度に毛の色本来の白さに戻っていきます。染める際は、庭の草木などを煮だした染料に漬け込みます。


※aomoriwool 中川麻子代表
「サフォークは丈夫だから温度変化にも耐えられます」

塊になった毛を薄く伸ばし紡ぎ車にかければようやく毛糸になります。1頭分にかかる時間は約120時間、しかし中川さんにとってはその時間が大切だといいます。


※aomoriwool 中川麻子代表
「心整うっていうか、紡ぎ車と私、一人になれる。ちょっと手間はかかるんですけど、そこからやりたいと思っています」


ここからが中川さんの本業、ホームスパン作品作りです。専用の織り機に隙間なく張られた縦糸へ横糸を一本ずつ入れ、さらに足元のペダルで縫い方に変化を付け柄模様を描いていきます。


※aomoriwool 中川麻子さん
「まぁ良いか(妥協)は無しだと思って作っています。作ったものにそのヒツジが見えるようだと、なお良いなと思う」


青森生まれ青森育ちのヒツジの毛に魅せられた作り手の思いがこもったハンドメイド作品。寒くなるにつれ身体だけでなく心をも優しく暖めてくれる逸品です。