また、原田さんにはもう一つ、感銘を受けた出来事があります。
それは、長女・愛子さまが中学卒業時に書かれた作文の中にありました。

「日常生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから『平和』は始まるのではないだろうか。そして、唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う」(愛子さまの中学卒業記念文集の作文「世界の平和を願って」より抜粋)
中学時代に修学旅行で広島を訪れた経験を元に書かれた愛子さまの作文。原田さんは、「一字一句、私が伝えておかなければいけないことが、ほとんどこの作文の中に入っている」と話します。
去年の歌会始の儀では、愛子さまの作文に抱いた感慨を込めて、皇后陛下が次の句を詠まれました。
「広島をはじめて訪(と)ひて平和への深き念(おも)ひを吾子(あこ)は綴れり」
愛子さまの作文と皇后陛下の句、そして被爆80年の節目の年に実現した、両陛下の広島訪問。

元原爆資料館館長・原田浩さん
「親子3代にわたって、広島の願いを受けとめていただいたということを考えたら、今回広島にお越しになったことに対して、私どもしっかりと受け止めていく必要があるんじゃないか」
原田さんは改めて上皇上皇后陛下から続く、天皇ご一家の広島に対する思いをしっかり受け止めたいと考えています。