東京電力福島第一原発の事故をめぐる裁判で、最高裁判所が国の責任を認めない判断を示してから、6月17日で3年となります。これに先立ち、16日、全国から集まった原告や支援者らが最高裁を囲み、判決に抗議しました。
16日、東京・千代田区の最高裁判所の前には、全国から駆け付けた原発事故の裁判の原告や、支援者が集まりました。今年は21の団体が参加し、代表者がスピーチをして、3年前の判決に抗議しました。

主催団体の共同代表・水戸喜世子さん「人命よりも国策が大事。原発は不可抗力の自然災害のせいだから、誰にも責任はないんだと。これは明らかに憲法違反の判決です」
原発被害者訴訟原告団全国連絡会・鴨下全生さん「間違いなく原発事故はそれを推し進めた国の責任であり、国と東電は防げた事故を防ぐ努力を怠った。それが真実です。司法は勇気と正義を取り戻せ」
2022年6月17日、原発事故の被害者が国と東京電力を訴えた4つの裁判で、最高裁は国の責任を認めない判決を出しました。3年前の裁判では▼大津波を予見できたか▼事故が回避できたかという2つが大きな争点でしたが、最高裁は「実際の津波は想定よりもはるかに大きかったために、対策をしても事故は防げなかった」などとして、国の責任を認めませんでした。それ以降、後続の裁判では、同様の判断が相次いでいます。
また、今年6月7日には、東電の旧経営陣に賠償を求めた株主代表訴訟の二審でも、東京高裁が、津波の予見可能性を否定し、株主側が逆転敗訴しています。
「司法の独立どこ行った、司法の独立どこ行った」
参加者は、スピーチの後、3回にわたって手をつなぎ、最高裁を囲んで、改めて、国の責任を認めるよう、訴えました。福島県内からは、いまも二審の裁判が続いている浪江町津島地区の住民も駆け付け、最高裁に向かって声を挙げました。

津島訴訟・今野秀則原告団長「司法の独立どこ行った!未来に誇れる判断を!」
最高裁の判決以降、津島訴訟では、原告側が「国が過酷事故に備えた対策のない原発を設置させ、その後も対策をしなかった」と新たな主張を展開して、国の責任を訴えています。主催者によりますと、16日は、去年よりもおよそ200人多い1154人が集まったということです。