■珍味製造会社はイカ乾燥機で“干し芋”を製造
一方、こちらはイカの珍味などを製造する「山一食品」です。
乾燥機に並んでいるのは、どことなく黄色っぽいイカのようにも見えますが、完成した商品を食べてみると…。
・麻原衣桜 記者
「とってもしっとりしています。甘さが口に広がります」

実はこれ、道産のサツマイモ「紅はるか」でつくった干し芋です。
イカの不漁を受け、スルメイカの代わりに目をつけたのが、道内でも生産量が増えているサツマイモ。
3月から「さきいか」の乾燥機を活用して、干し芋の製造に乗り出しました。
・山一食品 吉村直人常務取締役
「イカも水分を落として旨みを凝縮する工程があるんですけど、それに近いものが干し芋にもあるなと。70年近くイカの製品でお客様に購入していただいている身としては、やはり(イカ製品を)なくすことはできない。他のもの、食品全般を作りながら山一食品を知っていただけたらと思う」
■イカが復活するまでの苦肉の策
堀啓知キャスター:
イカの加工技術を生かして「干し芋」を製造いるんですね。
鶴岡慎也さん:
自称、サツマイモ大将の私としては嬉しいんですけれど、やはりイカの加工会社がこうやって何とか売り上げを上げていこうとする企業努力には、頭が上がりません。でもやっぱり僕はイカが食べたいですね。
堀キャスター:
結局、高いイカで生産してても採算が難しいですね。イカの加工品を10倍の値段で売るということにはならないですよね。
堀内大輝キャスター:
完全に干し芋に振り切ったわけではなくて、あくまでもイカが復活してくれるまでの苦肉の策ということです。

■イカの養殖技術の現在地
堀内キャスター:
水槽で泳いでいるのは、スルメイカではなく、日本沿岸に広く生息するアオリイカです。イカの養殖は困難と言われている中で、2022年に沖縄科学技術大学院大学の研究チームが、5年がかりで、ふ化から繁殖までの累代飼育を10世代に渡って繰り返すことに成功しました。
ふ化してから90日までの生存率は平均で60%、90%を超えるときもあったということです。これにより商業的な養殖の可能性が見えてきて、現在はスタートアップ企業が5年後をめどに養殖技術の確立を目指しています。
堀内キャスター:
商用化を目指すカフーオーシャンの中島代表にイカの養殖の難しさを聞きました。
【イカの養殖が難しい理由】
・水槽の壁にイカがぶつかって死んでしまうことがある
・共食いの危険性
・水温などの水質管理が難しい
・生きた餌を好むため、餌の調達にコストがかかる
■スルメイカの養殖は現状では困難
堀キャスター:
スルメイカはどうなんでしょう。
堀内キャスター:
スルメイカは、稚イカのサイズが小さいんですね。アオリイカは約7ミリと言われているが、スルメイカはかなり小さく約1ミリ。そうすると餌を与え続けるのが非常に難しい。そのため、技術の応用はできるかもしれないが、現状はかなり難しい。
鶴岡慎也さん:
その困難乗り越えてもらわないと…生でも加工品でもスルメイカ食べたいですよね。養殖でぜひ頑張ってもらいたい。まあ、海にかえって来てもらえるのが一番ですけどね。函館の為にも。
堀キャスター:
今までは本当に無理なんじゃないかと言われていたけれども、イカの種類によって今一歩二歩前進しているということですよね。そして今年のスルメイカ漁の見通しはどうなのでしょうか。