日本学術会議を国から独立した法人にするための法律が、今月11日に成立したことを受けて、政府のチェック機能による悪影響が懸念されるとして、廃案や修正を求めてきた日本学術会議の歴代会長が会見し、「心から遺憾の意」を表明しました。

日本学術会議法は、学術会議を国から独立した法人にすることが柱で、会員は総理大臣の任命から学術会議側が選任する形に改められます。

その一方で、総理大臣が任命した監事が、業務を監査する規程などが盛り込まれています。

こうした規程について学術会議側は、政府のチェック機能による悪影響が懸念されるとして「政府からの独立性などが保障されるべきだ」などと反発し、修正を求めていました。

きょう、都内で日本学術会議の元会長・山極壽一京都大学名誉教授らが会見を行い、歴代6人による声明を発表。「政府与党は、私たちの要請、また、科学者コミュニティと多様な市民からの大きな批判の声を一切顧慮することなく法案成立を進めた」として法案修正に応じなかったことに「心から遺憾の意」を表明しました。

また、国会審議で独立性や自主性、自律性の尊重などを求めた附帯決議があったものの、「法的拘束力がない」ことに懸念を表明。今後、最も重要なことは「日本学術会議と政府との信頼関係の再構築」だとして、そのためにも2020年の菅義偉元総理による会員候補6人の任命拒否問題について、石破総理は菅元総理と「全く異なる立場にある」と示す必要があると訴えました。

2017年から2020年まで会長を務めた山極壽一京都大学名誉教授は、「(拒否の)理由が分からないままでは自主規制しなきゃいけなくなる。それでは正常な運営ができない」などと会見で述べ、説明を尽くさない政府の姿勢を厳しく批判しました。