日本がバブルに沸き立つ前夜、1986年にいわゆる「トリカブト事件」は起きました。謎多き事件に、ワイドショーは連日この事件を報じ、やがて手がかりを少しずつ得始めます。この事件はワイドショーが事件解決に寄与した数少ない事件のひとつと言えるかもしれません。※文中一部敬称略(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

石垣島で起きた「妻の急死」

沖縄・石垣島で発生したある急死事件。それは後に日本の犯罪史に残る保険金殺人事件に発展していきました。
事件の主犯は、当時の被害女性の夫・神谷力元受刑者でした。

インテリらしい知性を感じさせる物腰が神谷の手口だったのではないかと言われています。

神谷とその妻は、1986年の5月、沖縄旅行に出かけ、妻の旧友3人と石垣島で合流する予定でした。
ところが、神谷は那覇空港で「急用ができた」と言いだし、一人那覇に残ったのです。結果、妻たち4人が石垣島へ向かいました。

「夫」と「妻」が離れて1時間40分後の不調でした。

現地に着き友人と合流し、ホテルに到着した直後、妻は突然、悪寒・発汗・手足のしびれといった症状を訴えました。そして救急搬送中に心肺停止。その数時間後に病院で死亡したのです。