銀行口座の乗っ取りで、わずか2時間で7000万円を喪失。警察庁によると、ネットバンキング不正送金の被害額は1年間で約87億円で、うちわけは2023年は『個人』標的の不正が多く、24年秋から急増しているのが『法人口座』狙いです。なぜ企業の大金が奪われるに至ったのか、銀行のシステムを悪用した手口に迫りました。
発端は「電子証明書の再発行」促す電話
「生きた心地がしなかったです。まさか自分がっていう気持ちです」
こう語るのは、大阪府内の会社で経理担当の役員を務めるAさん。去年11月、会社のネットバンキング口座から7000万円を奪われました。
発端は1本の自動音声電話でした。
(Aさん)「まず、音声通知のような電話がかかってきて、『電子証明書の更新がされていない』というような(内容)」
大手都市銀行を名乗りネットバンキングを使う際に必要な『電子証明書』の期限が切れたため、その再発行を促してきたのです。
(Aさん)「よくある音声で誘導されていくような電話で、『この方は1を』『この方は2を』というふうに」
音声の指示の通りにプッシュボタンの1を押すと男性オペレーターにつながりました。
男性オペレーターは『電子証明書などの更新・再発行手続き』の仕方をAさんに淡々と話し始めたといいます。そして「メールを送るのでそこから更新作業を進めてください」と言いました。