◇《“産後ケア”の担い手不足…現場には課題も》

札幌市から“産後ケア事業”を委託された施設には、利用者1人あたり約7000円(訪問)から6万円(宿泊)の助成金が出ます。

ただ、梅本さんの施設では1日に受け入れられる利用者は2人ほどと限られています。スタッフの給料も支払っているため、週50時間以上働いても、梅本さんの月収は約15万円です。

助産師 梅本智子さん
「"産後ケア"だけで収入が回っていかないので…。食費とかもすごく上がってきているので。食事もお母さん方に、しっかり出していきたい…となってくると経費もかかってくるので」

そこで梅本さんは、収入を補うため、小児科で週に一度、看護師として夜勤のパートをしています。

助産師 梅本智子さん
「じゃあ左手から注射を打ちます…ちょっとチクってなるよ」


この日は午後6時から10時までの間に、20人ほどが来院。休む間もなく、問診などをこなしました。

“産後ケア”の利用率は15%ほど。十分に普及していないことも課題です。

◇《“産後ケア”を受けるのは弱い母親…という誤った認識》

東京情報大学看護学部 市川香織教授
「"私がケアを受ける対象かわからない?"っていう人もいる。“産後ケア”を受けるってことは、母親として弱いんじゃないかとか…」


札幌市は“産後ケア”事業を始めた当初、対象者について『家族などから家事や育児等の援助が受けられない』といった条件を厳しく設定していました。

しかし、利用のハードルを下げるため、去年から、対象を『すべての母親』に変更しました。

東京情報大学看護学部 市川香織教授
「ケアされて当たり前で、子育ては人手がいるんだよって、もっと気軽に(産後ケアを)使ってもらいたいと思っている」

“産後ケア”を必要とする全ての母親にサービスを届ける…。そのためには、行政が積極的に母親の背中を押すことが鍵になりそうです。