
『高速道路で何が変わる』

先月29日に東北中央自動車道の東根北ICから村山本飯田ICの間、8.9キロが開通。
国土交通省によると、1981年に米沢・南陽道路に着手してから、41年。
これで首都圏と新庄が一本の道路でつながりました。
ちなみに山形と新庄の移動時間は、およそ9分短縮され、50分程度になります。
では、今回の開通で山形県にはどんなメリットがあるのか。専門家に聞きました。


―メリット① 産業の振興―
山形大学人文社会科学部 坂本直樹 教授
「(円安で)国内で生産活動を行うメリットが高まっている状況下にある
企業誘致やメリットは少なからずあるだろう」

―メリット② 観光の振興―
山形大学人文社会科学部 坂本直樹 教授
「徐々に観光需要は国の取り組みもあって回復していく中で今回の高速網が活用されればいい」

インフラ整備に詳しい山形大学の坂本教授によりますと、高速道路のメリットはそもそも3つ大きくあるそうです。
「輸送時間の短縮」「輸送コストの軽減」そして「交通事故の減少」と。
この他に東北中央道の場合を考えてみますと、産業面では、企業誘致などで工業地が発展すれば雇用の可能性もありますね。
そして観光面では観光客が増加すれば地域経済が潤う可能性がありますね。ということをおっしゃっていました。
さらに実はこの他にこんな影響もあるんじゃないかということで別の専門家はこういうことを指摘してます。

「地価が上がるんじゃないか」ということなんですね。
不動産鑑定士の月田真吾さんにお話をお伺いしました。
まずは、工業地です。
これまでは新庄以北に影響はなかったそうなんです。地価があまり動いてなかったと。
ただ今後は上昇傾向ができるんじゃないかと。
村山元飯田ICの周辺というのは実は開発が進んでいないそうで、ここは工場地帯になれば当然工場地帯としての地価は上昇していきますよね。ということをおっしゃっていました。
住宅地は山形のベッドタウンとして、天童市東根市はある程度上昇しきっている。今後は今回の開通で村山市で家を建てる人が増加するんじゃないかと。
その影響というのは実は尾花沢市あたりまで出るんじゃないかということなんですよ。
実際に尾花沢市では、民間業者が宅地分譲を開始したという情報もあるそうですよね。
しかも若干上昇気味になると。
高くなるからデメリットかというと、もちろん買う人にとってはちょっと悩ましいことなんですが、その土地の価値が上がってるっていうことでもあるということなんですよね。
さらにもう一つ注目すべきポイントがあるということで坂本教授がこういうことを言ってます。

「救急搬送時間の短縮が地域を変える可能性があります」と。今回の開通で、尾花沢市、大石田町などから、県立新庄病院や県立中央病院への救急搬送時間が短くなります。
実際に県立中央病院へは9分ほど短くなるという試算が出ているそうです。
このメリットが今叫ばれている、ある問題に直結しているといいます。

山形大学人文社会科学部 坂本直樹 教授
「今回の道路整備で救急搬送時間が短縮されるということは
それだけ地域住民に対して安心感を与えるというメリットも非常に大きい」
『救急搬送時間短縮=安心感』

山形大学人文社会科学部 坂本直樹 教授
「医療が不足している地域は人口減少を考えた時に歯止めがかからないという点がある
救急医療面の改善は地域社会を下支えするという面も大きい」
今回の道路整備。救急搬送時間が短縮されるということは、それだけ地域住民に対して安心感を与えるというメリットも大きいと思うんですね。
医療が不足している地域は、どうしても人口減少の歯止めがかからないっていう点もあるかと思うんですけれども、そういう救急医療面での改善というものは地域社会を下支えするっていう面もですね、非常に大きいのではないかなと。

坂本教授が言っているのは、医療の安心というのは実は「人口減少の歯止めに繋がる可能性」があるんですよ。高速道路は上を使う人だけじゃない。実は下に住んでる地域に住む人にもメリットがあるんじゃないかということなんですね。
ただ心配な点も当然指摘してました。
高速道路の下に住んでいる人たち、あるいは商店にお金が落ちるかどうか。
あるいはストロー効果っていうんですけど、道路ができると、人や物を運んでくるだけじゃなくて出て行くことも誘発しかねないということで、そういう心配もありますね。
それに対抗するにはどうすればいいかというと、坂本教授おっしゃってます。
「山形県の魅力を発信する努力が必要になる。せっかく道路という周遊ツールができたんですから、隣県と共同で魅力を発信すべきですね」と、「高速道路は作って終わりじゃなくて、使うことを考えてください」ということだったんですね。
これが今後の課題となりそうです。