参院選を前に自民党の運命を左右する「コメ政策」、石破政権の戦略は

自民党にとって、このコメ価格問題は夏の参議院選挙に向けた重要な政治課題となっている。江藤前大臣の「米を買ったことがない」という発言による辞任から、小泉大臣の積極的な対応への転換は、まさに選挙を見据えた戦略といえる。
JNNが行った世論調査では、5キロあたり2000円程度の政府の備蓄米について、「買いたい」と思う人と「買いたくない」と思う人がともに48%で拮抗する形となったが、石破内閣を「支持できる」という人は前回の調査から1.3ポイント上昇し、34.6%となった。一方、「支持できない」という人は62.0%と、0.1ポイント下落した。
コメの価格は、単なる経済問題ではなく、支持率に少なからず影響を与える政治問題だ。2009年の衆議院選挙で自民党が改革路線を訴えた一方、民主党が農家の農地面積による補助政策を打ち出し、農業票が離れたことを指摘する。また、2016年の参議院選挙ではTPP交渉の影響で農業系団体が自主投票となり、東北の一人区で自民党が1勝5敗した苦い経験もあるという。
石破政権と森山幹事長は、こうした歴史を踏まえつつ、改革と現状維持のバランスを取ろうとしている。森山幹事長が農水大臣時代に小泉氏が農林部会長を務めていた経緯もあり、両者は連携して動いているという。
今後の焦点としては、コメ価格高騰の検証と中長期的な対応策が挙げられる。農水省がこれまで「米は足りている」と価格にコミットしてこなかった中で「米が足りていなかったと認めるのか」という点に注目だ。一方で、中長期の対応策も重要で、農家が米を作っても安く買い叩かれる状況を改善する政策が求められる。
参議院選挙に向けては、コメ価格問題が争点になる可能性もあり、自民党の運命を左右するのは、コメ価格をどこまで下げられるか、そして農家の懸念にどう応えるかというバランス感覚だ。農家が安心して米を作り続けられる販売価格を実現しつつ、消費者の負担を軽減するという難題に、小泉大臣と石破政権がどう立ち向かうのか、今後の動向が注目される。
TBS政治部・原尉之、経済部・田中優衣














