「一過性の劇薬」か「価格是正の切り札」か?随意契約による備蓄米放出の功罪

小泉大臣が打ち出した随意契約による備蓄米放出策によってコメ価格は下がりつつあるが、この政策をめぐって農水省内では「祭りの後」を懸念する声も上がっている。政府の備蓄米はもともと91万トンあり、江藤前大臣の時代に競争入札で約31万トンが放出され、小泉大臣就任後は随意契約で約30万トンが放出されることになった。残りは約30万トンで、今後の扱いが焦点となる。

現在のコメ価格は江藤前大臣が放出した備蓄米、小泉大臣が放出した備蓄米、そして銘柄米の3種類に分かれており、安い備蓄米が浸透すれば夏ごろには銘柄米の価格を押し下げる可能性があるという。さらに、農水省内では「流通にのっていないとされる米」が存在し、新米が出てくるタイミングで出回るお米の量が急増、一気に米価が下がるリスクが懸念されてるという。農水省は「今は祭りだが、その後の反動」を恐れているという。

コメ価格の適正水準については、森山幹事長が「3000円から3200円くらい」、石破総理が「3000円台」と発言しており、現在の5kg4000円台という価格は「再生産可能な価格を遥かに超えている」という。一方で、肥料高騰などの影響で新米が安く買い叩かれると農家が離農する懸念も無視できず、適正な価格を模索する必要がある。