「もうけ損ねたね」と揶揄されても…

実は、周囲の人から「藤本さんのコメは安い。もうけ損ねたね」と、揶揄されたそうです。しかし藤本さんは相場に合わすことはしませんでした。

藤本聡社長
「値段が、今度は消費者を苦しめるような状態になってしまった。だったら自分たちはどうすべきか、適切な価格だというのをお互いに提示して話し合い、その価格で販売した」

それが農家の出荷価格で30kg・1万1千円、店頭価格5kg・3500円でした。

藤本聡社長
「今年の秋は正直、それが今の適正価格なので下げない。上げる気もない」

藤本農園では、37ヘクタールの田んぼでコメを栽培、社長以下従業員9人の賃金や肥料・農薬代、機械代などを賄っています。コメの値上げで機械の更新もできるようになったそうです。また少しでもコストを抑えるため藤本さん自らトラックを運転して広島や大阪の小売店までコメを運んでいます。

そんな藤本さんだけに小泉大臣の「2000円の備蓄米」発言にショックを受けたそうです。

藤本聡社長
「有事の際の大切な食料が、あのー人気とりのために使われてしまう。正直、腹立たしかった。悲しくなりました」