■漁港直営の食堂で人気メニューめざす
そのうちのひとつ、魚津漁協直営の魚津丸食堂で味わえるのは「ミズガンコ深海あんかけ丼」。
竜田揚げ風にからりと揚げたミズガンコを季節の野菜をふんだんに使った中華風のあんと合わせました。
記者:
「ぷりぷりです。白身であっさりした味で、出汁のきいた中華風のやさしいあんに合いますね。こんなにおいしいのに今まで洋上で捨てられていたっていうのはもったいない。本当においしい魚ですね」
その見た目から「まずい」という先入観もあり流通していなかったミズガンコですがクセのない味とゼラチン質の食感が好評です。
魚津丸食堂 竹内直樹 店長:
「感触的にすごく悩ましいものはあったんですけど。有効活用してあげれば上手に食材として提供できることを学ばせてもらいました」
一方、天ぷらが自慢の八坪食堂の魚津丼は…。
使用するのは体長およそ50センチのナガツカです。ミズガンコ同様、これまでは未利用魚として廃棄されていました。
切り身にするときれいな白身でおいしそうですが今まで食べられなかった理由があります。
八坪食堂 黒崎益広 店主:
「卵に毒があったりとか弱い毒なんですけど。毒って聞くだけで、普通は買いませんよね。ただもちろん身には全く問題なくて、むしろ他の魚にないくらいの上品さがある魚ですね、ナガツカは」
ナガツカの内臓には「ジノグリネン」という腹痛や下痢を引き起こす毒があります。適切に処理をしたナガツカのほかに、ゲンゲやエイなど魚津の深海魚をからりと揚げ丼に盛り込みました。
記者:
「これまでは未利用魚だったナガツカをいただきます。名前の通り長いです。おいしい。あっさりしていますね、白身魚なので甘辛いタレの味付けとよく合います。食感はふわっとしていて、衣のサクサクとのギャップがたのしいですね」
ポイントは、豆油とごま油をブレンドした油で揚げること。ごま油の風味が立ち、魚介だしの効いたタレとの相性は抜群です。
八坪食堂 黒崎益広 店主:
「魚だけ乗っている天丼ってそんなにないと思いますね。富山県でも魚津市じゃないとできないんじゃないかな」
「とやま湾の幸魚津丼フェア」は来週土曜まで。市内の7店舗で魚津自慢の深海魚を堪能できます。
魚津漁業協同組合 濱住博之組合長:
「漁業者も良いし、扱う飲食店もプラスになるし、食べてる方の消費者もまた良いとなれば三方良しになる。周りの海にはものすごい資源が本当はあるんです。それをうまく持続的に使えるようにしていけば、日本も食料危機はないんじゃないって感じ」
第2のゲンゲを目指して。暗い深海に潜む未利用魚が魚津に新しい食文化を生み出そうとしています。