実の父親から性的暴行を受けたとして、娘で被害者である福山里帆さんが実名で訴えている裁判で6月2日、里帆さんの相談を担当した児童相談所の元職員の女性が証言台に立ちました。職員の女性は、当時の里帆さんの様子について、質問には気丈に答えているように見えたと述べた一方、里帆さん自身が時々精神的に不安定になることや男性への苦手意識があると話したことを証言しました。

この裁判は黒部市の無職、大門広治被告(53)が2016年8月ごろ、高校生だった娘の福山里帆さんに対し、抵抗できない状態と知りながら性的暴行を加えた、準強姦罪(現:不同意性交等罪)」に問われているものです。

富山地裁で開かれた公判では、里帆さんが初めて被害を打ち明けた児童相談所の職員の女性が証言台に立ちました。

証人尋問では、当時の里帆さんの様子を確認するため、児童相談所の職員が記録した公式文書「児童面接記録」の内容について、検察官や弁護士が照らし合わせながら、質問や確認が行われました。「児童面接記録」とは、児童相談所を訪れた児童の記録を残し、管理することが定められている書類です。

証言台に立った職員の女性は、里帆さんが初めて被害を打ち明けた際の様子について「質問には気丈に答えているように見えた」と述べました。その一方で、里帆さん自身が、被害を受けた後遺症として時々精神的に不安定になることや、男性への苦手意識があると話していたことを証言しました。

また、性被害については、2016年8月の高校生の頃の被害のほかにも、中学2年生の時から、大門被告から『こっちにきて』や『服脱いで』と声を掛けられ、合わせて8回ほど被害を受けたと話したことも証言しました。

娘が実名で被害を訴えることは、性暴力の被害者が声を上げにくい社会のなかで、同じ境遇の人々に勇気を与えることになります。裁判を通じて、性暴力の根絶と被害者支援の強化に繋がることが期待されています。

次回の公判は里帆さんの母親の証人尋問が行われます。