西武キャンプを視察する長嶋さん(2002年)

そして3日間の視察の最終日、長嶋さんは、西武ライオンズ(現:埼玉西武ライオンズ)のキャンプを視察しました。

西武は、この年から伊原春樹さんが監督に就任していて、球場入りした長嶋さんは早速、伊原さんと言葉を交わしていました。

そして、投球練習場へと足を運んだ長嶋さん。視線の先には、“平成の怪物”松坂大輔さんの姿がありました。1999年に入団後、高卒新人から3年連続最多勝と球界を代表する存在になっていた松坂さんは、この時、プロ4年目のシーズンを迎えようとしていました。

西武キャンプで松坂大輔さんと握手する長嶋さん(2002年)

そんな松坂さんのピッチングを、捕手の“真後ろ”に立って視察した長嶋さん。時折、松坂さんの投球後に親指を立てて「グー!」サインする姿も。視察後、松坂さんは「長嶋さんが真後ろに立たれたので、ぶつけないように投げました(笑)」と笑顔で振り返りました。

松坂さんと合わせて、西口文也さん(現:西武監督)ら投手陣も視察した長嶋さん。視察後は「投手王国ならではのブルペンの厚みを感じました。西武は、ピッチャーが安定していますね。問題は得点力でしょう…」と話していましたが、2002年の西武はその心配をよそに開幕から勝ち続け、1998年以来のリーグ優勝を果たしました。

長嶋さんは、翌2003年にも3球団のキャンプ視察で高知を訪れ、選手たちに熱い視線を送りました。その翌年・2004年3月に病気で倒れ体に麻痺が残りましたが、その後も今日に至るまで20年以上にわたり、野球界の発展を見守り続けました。

大勢のファンが訪れて“長嶋フィーバー”に湧いた、2002年春と2003年春の高知。3日に亡くなった長嶋さんでしたが、“ミスター”の勇姿は、高知の野球ファンの目にも、しっかりと焼き付けられていました。