政府備蓄米の随意契約での売り渡しについて、専門家は「競争入札の失敗を取り返した」と高く評価しています。
一方で今後のコメ政策については「海外輸出などを含め増産し不測の事態に備えるべき」と指摘しています。

宮城大学 大泉一貫名誉教授:
「随意契約しかなかっただろうと思う」

農政に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授です。小泉農水大臣が採用した随意契約でのコメの流通を高く評価しています。

宮城大学 大泉一貫 名誉教授:
「入札方式だと、せっかく備蓄米を出しても高値が続くことになる。それから、(卸売りや小売りではなく)集荷業者に出した。一番困っているのは、消費者ですから、消費者に一番近いところに出さないと流通が滞ってしまう。それから様子を見ながら少しずつというのも、高くなった価格を冷やすことにはならない。そういった諸々の失敗を、今回は、全てひっくり返したということ」

コメの価格は「4000円台の銘柄米」、「3000円台の備蓄米を含んだブレンド米」、そして今回の随意契約による「2000円台の備蓄米」の3つの価格帯に分かれたと指摘。

今後は「2000円台の備蓄米が、プライスリーダーになっていく」と予想します。

宮城大学 大泉一貫 名誉教授:
「販売者が非常に商売上手で、販売の仕方が薄利多売でも販売できる業者さんが多い。2000円のコメの勢いは非常に強いと思う。4000円台のコメは、棚にはあるけど売れなくなってくる状況が出てくるのでは」

大泉名誉教授は、コメの価格高騰の原因は、そもそも生産調整などこれまでの「国内需要に合わせたコメ政策」にあると話します。

今後は、海外輸出などを含めた「新たな需要を創造するコメ政策」に転換し、不測の事態に対応できる態勢づくりが必要だと話します。

宮城大学 大泉一貫名誉教授:
「(これまでのコメ政策は)生産調整で減産して、農家の足腰を弱くしていった。それにより、離農がどんどん進んだ。こういう政策を改めて、競争力のある強い稲作産業を育てて、増産して、出来れば輸出までして、いざという時にはその輸出を国内生産にも回していくと、こういった政策にしていく必要がある」
大泉名誉教授は「今年の新米が出回る秋には、コメ全体の価格が落ち着く」と予想していました。
その一方、米価の過剰な値下がりや高値でコメを購入した業者の経営が苦しくなる恐れがあるとして、政府には対策を求めたいと話していました。