岩手県奥州市水沢の中心商店街にある商業施設「メイプル」が、来年春にも閉店する見通しであることがわかりました。新型コロナウイルスの影響に加え、電気料金の値上がりが経営を圧迫したとみられています。

 メイプルを運営する水沢クロス開発は2日までに、入居するテナントに対し、賃貸の契約の期限を来年4月30日とする文書を送りました。
 テナント関係者によりますと文書には「電気料金の急激な負担増に耐えられない」として、「メイプルの管理運営も続けることができないとの判断に至った」との説明が書かれていたということです。

 メイプルは、核店舗の「ジャスコ水沢店」と地元テナントが入居する商業施設として奥州市水沢に1985年11月にオープンし、水沢地区中心部のにぎわい創出をけん引しました。
 しかし大型商業施設の郊外進出などで徐々に売上が減少し、ジャスコ水沢店とともに2005年に閉店します。翌2006年には奥州市や地元商工会議所が出資し、管理や運営を担う水沢クロス開発が設立されメイプルは再び営業を開始しますが、2019年に食品スーパーの「ジョイス」が退店すると、その後、新型コロナウイルスによる客足の減少や電気料金の高騰が経営悪化に追いうちをかけました。
 水沢クロス開発の千葉貢社長はIBCの取材に対し、「各店舗へ通知をしたのは事実です。今後、テナントや市民への説明会を開き理解を求めたい」と話しました。

(利用客)
「ちょっとショックです。ここで買えないと不便になります」
「残念だなあって思います。学校から近くてたまにここに寄ったりするので休み場所がなくなる」

 一方、奥州市はメイプル内に上下水道部の窓口や文化施設などを設けていて、テナント料や補助金をあわせて年間およそ7000万円を支出してきました。さらに去年はボイラーの改修費としておよそ1300万円も支援しています。
 市の担当者は「関係機関との協議を経たのち、メイプル閉店後を含む中心市街地のあり方、市の考え方について早急に示したい」としています。