判決から争点を解く――

今回、熊本地裁は「危険運転致死傷罪」と認定しました。

法律で危険運転にあたる行為の一つとして「制御困難な高速度での走行」があげられています。

弁護側は「バック走行が法律の文言に含まれていないため危険運転にはあたらない」と主張していましたが、今回熊本地裁は「危険性を生じさせる速度は前進だろうとバック走行だろうと生じ得る」と、弁護側の主張を退けました。

その上でバック走行での70キロほどのスピードは「制御困難な高速度」と認め危険運転が成立するとしました。

加えて、松本被告の事件当時の行動について裁判長が指摘しました。

・禁じられていたにもかかわらず自動車で出勤した
・飲酒を断ることができたにもかかわらず、その場の雰囲気に流されて飲酒した
・代行運転を依頼するなどして運転を回避できた

正しい選択をしていれば事故発生を回避できたはずの機会が何度もあった。この身勝手な判断が積み重なった結果だとしました。

そして「正しい選択ができるようになってください」と松本被告に伝え裁判を締めくくりました。

なお、松本被告の弁護人は、「控訴については今後、被告と話して検討する」としています。