今月19日に東京の硫黄島で始まったアメリカ軍岩国基地を拠点とする空母艦載機の訓練が、25日に報道関係者に公開されました。去年、岩国に配備された最新鋭のステルス戦闘機、F35Cが初めて参加しました。

山口県岩国市の岩国基地を拠点とする空母艦載機は毎年5月、硫黄島で陸上模擬着艦訓練、FCLPを行います。

常に海を移動する空母の限られたスペースに着艦するには非常に高い技術が必要です。どんなに厳しい環境でも機体を自由自在に操り安全に着艦できるよう、空母が出航する前にパイロットは必ず訓練します。去年11月、空母艦載機の機種変更で国内で初めて岩国に配備されたステルス戦闘機F35Cが硫黄島でのFCLPに参加するのは初めてです。

在日アメリカ海軍司令部のフィル・チティ少佐は「すばらしい打撃力を持ったF35Cが配備され、安全保障環境が格段に向上した」と評価しています。F35Cが所属する第5空母航空団の抑止力を維持することで、日本とインド太平洋地域の防衛力が実現すると力を込めました。

硫黄島は太平洋戦争の激戦地で、日米で約3万人が命を落としました。岩国基地からの距離はおよそ1400キロです。騒音対策には適していますが、アメリカ海軍は「本土と往復するとき緊急時に着陸できる空港がないという点でリスクがあり、恒久的な訓練に適した場所ではない」としています。在日アメリカ海軍司令部で作戦などを担当するウィリアム・ファロン大佐は「騒音などで周囲に迷惑がかからない場所を日本政府にお願いしている」と、恒久的な訓練施設の必要性を改めて強調しました。

訓練の移転先として岩国から約400キロの鹿児島県西之表市の馬毛島に自衛隊基地の建設が進められています。防衛省は滑走路など訓練に関わる施設は、2027年末に完成する予定としています。

厳しい訓練や条件をいかに克服しているかを理解してもらうことが、日米同盟の絆を深めるとして公開された硫黄島での訓練。安全保障環境の厳しさが格段に増している現状がかいま見えました。