4月から、陸上でサバを養殖する実証実験を始めた宮城県石巻市の一般社団法人が地元の水産高校や石巻市と協定を結びました。

宮城県石巻市の一般社団法人「おしかの学校」の養殖施設では、4月上旬から、約650匹のサバの陸上養殖の実証実験を始めています。

孵化から成魚に育つまですべて陸上で完結させ、食中毒を引き起こす寄生虫=アニサキスがいない安心なサバの生産を目指します。

おしかの学校 小野寺鉄也 理事長
「クジラの糞を食べたサバがアニサキスを体の中に持つと言われているので、アニサキスが一切発生しないサバが養殖できる」

この陸上養殖の実証化を目指し、石巻市役所で「おしかの学校」と県水産高校、それに、石巻市が協定を結びました。

協定では、サバの陸上養殖について、おしかの学校とサバの採卵などの経験がある宮城県水産高校が共同で研究し、石巻市は補助金などでサポートします。

サバは石巻魚市場に水揚げされる代表的な魚のひとつで、脂がのった大型のサバは「金華さば」のブランド名で出荷されています。

しかし、海水温の上昇などの影響で巻き網漁で漁獲するサバの水揚げ量は、2020年の2万2816tから去年は2566tと減少が続いています。

おしかの学校 小野寺鉄也 理事長
「石巻の水産加工団地は世界一。キーとなる資源はサバ。サバの不漁を陸上養殖で補えないかということでサバを選択した」

おしかの学校によりますと、サバの陸上養殖は県内で初めてで、5年以内に大規模な養殖施設を整備し、出荷態勢を整えたいとしています。

おしかの学校はトラフグの養殖を9年間行ってきた実績を生かし、サバの養殖に取り組んでいます。

宮城県水産技術総合センターによりますと、サバは親潮とともに南下してくるがここ数年は三陸沖の海水温が高いため南下しなくなっていて、それが不漁の一因になっているということです。