■幻の銘柄 黒石のムツニシキとは


※原子さん
「黒石のムツニシキを使っています。すごくこれ、すしに合うコメですので自分たちも喜んで使っています」

「ムツニシキ」は20年前、黒石市を中心に栽培されていた県の奨励品種です。収量が少ないなどの理由から一時、作付けが途絶えてしまい、「幻の銘柄」とされてきましたが、「ほのかな甘み」や、「しっかりした米粒の存在感」が見直され、2018年にすしに合うコメとして復活。


以来、原子さんも自慢の「太巻き」に使用しています。ただムツニシキを普及させたい気持ちとは裏腹にこんな現状もあるといいます。

※原子さん
「普通のコメよりちょっと値段が高い。コロナになってから飲食店の商売は低迷しているからコロナが収束すればもっと米も使うしムツニシキも使う」


こうした中でもすし米のおいしさを伝えることが県産米全体の支援につながると考え、県すし組合の弘前支部長を務めている原子さんは、すしの振る舞いイベントなどを積極的に開催しています。


※原子さん
「(ムツニシキを生産している)黒石も応援したいし、みんな(県産米を)応援したいですよ。本当はもっとこれからムツニシキを知ってもらって一般の人にも食べて欲しいなと思います」


復活したムツニシキでさらに味も増し、今では多い時に、1日30本の注文があるといいます。

※原子さん
「自分は75歳まで。まだまだ手のきくうちはやりたいなと思っていますよ」


現在、72歳の原子さんは夫婦2人で切り盛りする店を、3年後、息子に引き継ごうと考えています。

ただ、代替わりまでに叶えたい目標も抱いています。そこには地域への感謝の念があふれていました。


※原子さん
「一般的に来られる店を作りたいなと思って自分ではがんばっているのさ。地元の人、今まで何十年も来てくれた人が来てくれるのが一番うれしい」


原子さんは「暖簾をくぐってすし店に入ることは少しハードルが高いと感じるお客さんもいると思うんですがお客さん顔や好みの味を一人一人覚えられる場所だからこそ県産食材を使った最高のすしを一番喜んでもらえると思う」と話していました。