困難な被災地で心のつながりを届ける使命

この日、川口さんが訪れたのは石川県との県境に近い氷見市中波地区。

川口さん
「こんにちわ。中川さん」

5年前に父親が亡くなってから1人で暮らす中川善成さん63歳。軽度の知的障害があります。

中川さん「美味しそう」

川口さん「美味しそうだね」

毎回、会話を大切にささいな変化にも気を配っています。

この日は、趣味のカラオケを川口さんに披露しました。

川口さん「すごい。中川さんの新たな一面が見れました」

中川さん
「1人で住んどるからやっぱり誰かと話するのは楽しい。聞いてくれる人がおる。楽しいというか有難い」

川口さん
「自分のおじいちゃんとおばあちゃんに会いに行くつもりでいつも寄り添うじゃないですけど出来る限りしたいなと」

氷見市内を配達中、よく目にする光景があります。能登半島地震で変わり果てた被災地です。

川口さん「景色が変わって辛いです。風景が。輪島の方もそうなんですけど。生まれ育った風景が変わっていく。更地になっていくのを目の当たりにして辛いですね」

実は川口さん、石川県の輪島市出身。地震で祖父の家と実家が甚大な被害を受けました。

当時、七尾店に勤務していた川口さんは輪島に戻ることなく被災地で弁当を届け続けました。

川口さん「体調はどうですか?」

地震の後も自宅に留まり行政も所在を把握できていなかった顧客の女性を川口さんが見つけました。

利用者「ありがとう」

川口さん
「苦しかったですよ。本当に苦しくてでも考えないように。日々のお客さんに対する家族みたいな気持ちだったのかもしれませんね」

高齢化と過疎化が進む被災地で高齢者の心の拠り所となっている宅配弁当。

川口さん
「いつもありがとうございます。どうですか体調は?」

中川さん
「本当に毎日声かけてくれるわ。本当にそれがうれしい」「本当に幸せやわ」

川口さんはきょうも安心と安全、心のつながりを届けます。

川口さん
「やっぱり安心してもらいたい。1番はやっぱり楽しく家で暮らして欲しいし、そのためにどこまで出来るかな寄り添うっていう言葉はありますけど。この人が来てくれたら安心だと思っていただけたらと思います」