地方発のチャレンジ精神受け継ぐ

濱田さん
「ありがとうございまーす」
従業員と席をともにして昼食をとるフジミツの藤田社長。この藤田社長が濱田さんに入社を勧めました。濱田さん家族と何十年の親交があるという藤田社長。濱田さんの大学卒業を聞いて歴史と伝統だけでなく地方からチャレンジする精神を受け継いでほしいという考えからでした。

フジミツ・藤田雅史社長
「過去の先祖の歴史を背負ってますけど、そこに固執することなく、それだけにこだわることなく大きく夢をもって羽ばたいていってもらうような、そういう人材に育ってくれれば」
工場の「頭脳」生産工程学ぶ
3年前にフジミツに入社した濱田さん。これまでにさまざまな部門を担当してきました。生産管理部門ではかまぼこやちくわなど得意先の注文によってさまざまな種類の商品を製造しました。限られたラインで製造工程をどう組み合わせるか、まさに工場の頭脳といえます。

フジミツ三隅工場・麻村将司副工場長
「順番を変えないとよけいな切り替えがもう一回増えてしまう。洗浄が入るよねこの商品、30分で切り替えができないからこれを最初に持ってきて」
濱田さん
「はい」
同じ組み合わせは2度と無いというほど複雑で、濱田さんは指導を受けて日々驚くばかりといいます。
濱田さん
「赤福のように単一商品で商売成り立つのって希有な例なので、ほかの工場で全部がこういうことをやっていることにも、私がフジミツに来なかったら当たり前ですが気づけなかった」
ものづくりの精神に現場で触れる
また商品をチェックしていく製造ライン部門では消費者への向き合いについても深く考えるようになりました。
出てきた製品を5つまとめて、一度裏返します。製造日だけでなく製品を包むフィルムが美しく貼り合わされているか一瞬で確認して箱に詰めていきます。

簡単に見える作業ですが・・・濱田さんとベテラン社員2人の作業には大きな違いがあります。ベテラン社員の持ち方は製品5つのうち2つを利き手に持っています。実は3つ持つより2つのほうが安定が悪いということで利き手で作業していました。
濱田さん
「女性とかパートの方でも私より手が小さいのに商品を事もなげにつかむ、これは職人技というか、要所要所で感じますね」
フィルムの貼り合わせは品質への影響はないといいます。しかし手に取った消費者のことを考えるとやり直す、というのがフジミツの考えです。

麻村副工場長
「何十万分の一とよく言われたりするんですけど、当事者にしてみれば1分の1をわかっていただかないと直らないと、そういったところを指導させていただいています」
濱田さん
「現状維持ではなく前に前に進んでいる、われわれ食品メーカーは現場無くして成り立たないので、そこの常に現場を見る目、常に社長の心意気というかスタンスは大事なのかな、と勉強になっております」
練り製品と和菓子、違いはありますがものづくりへの精神を吸収している濱田さん。いずれ、実家を継ぐことになるその日まで、長門の地での「武者修行」は続きます。