中国がきのう打ち上げた宇宙実験施設と宇宙ステーションがきょう、ドッキングに成功。現地では「アメリカは脅威に思うはず」という声も聞かれています。宇宙でも激しくなりそうな米中の覇権争いです。

きのう、中国南部の海南島から打ち上げられた実験施設「夢天」。日本時間のきょう午前5時半ごろ、中国の有人宇宙ステーション「天宮」とのドッキングに成功しました。

ロケットの打ち上げが行われた街・文昌。実は・・・

記者
「文昌の街の中を歩いてみますと、いたるところにロケットの絵などが描かれているのが見受けられます」

8年前に発射場が完成したことをきっかけに「宇宙の街」をアピール。「宇宙」と名のついた施設が目立ちます。

海南島は日本でも人気の料理・海南鶏飯ゆかりの地でもあります。ロケット発射場のおかげで道路も整備され、街もきれいになったといいます。観光客も増えました。

宇宙マニアの男性
「街中にもロケットを見ることができるビルがありますが、人が多い雰囲気の中、打ちあげを撮りたいんです」

観光客
「もう3日もここで待っています」

ロケット打ち上げは、国威発揚の絶好の機会ともなっています。

打ち上げを見た人
「興奮しました。中国はとても強いと感じました」
「私たちがこのように多くの技術を統合して成果を上げていることを、アメリカ人はきっと脅威に思っているでしょう」

習近平国家主席の3期目入りに花を添えた形の今回の打ち上げ成功。ただ、中国は宇宙空間の軍事利用を否定していません。

他国の人工衛星に接近して、攻撃・捕獲する「キラー衛星」の開発も進めているとされ、官・軍・民が密接に連携しながら、急速に進む中国の宇宙活動はアメリカの優位を脅かすおそれがあると指摘されています。

一方、アメリカは、宇宙を「明確な戦闘領域」と位置付けていて、「宇宙軍」の強化などを図っています。

着実に進む中国の宇宙開発。今後、宇宙空間をめぐる米中の覇権争いは激しさを増しそうです。