列車が線路内の小屋に衝突し1人が死亡した長野電鉄の事故で、列車は、事故の前、天候が悪く手前の駅で一時運転を見合わせていたことが分かりました。

車内アナウンス:「負傷者がおりますためしばらく運転を見合わせます」


これは事故直後に列車内に流れたアナウンスです。

2両目に乗っていた高校生は:「最初は1両目にいる人が『2、3両目に行ってください』と、そのあと『看護師さんはいますか、お医者さんいますか』と」

事故は帰宅時間でおよそ200人が乗っていた列車で起きました。

21日午後5時50分ごろ、須坂市を走行中の長野電鉄の3両編成の普通列車が鉄パイプ製の小屋と衝突。

列車は1両目のガラスが割れました。


近くの住民は:「(あの時)雷と風がすごくて、電車が通ったと思ったら、パーンと音がして、電車がいきなりいつもと違う感じで停まって。(電車が停まった時の音は)ガタン・ドンみたいな感じ。一瞬、脱線したかと思った」

警察によりますと、この事故で、長野市に住む会社員の56歳男性が死亡し、いずれも長野市の65歳と56歳の公務員の男性2人が頭に軽いけがをしました。

住民によりますと、事故の当時は、激しい雨と強い風が吹いていたといいます。


住民は:「台風並みの暴風雨に一瞬なった、ひょうも降って」

事故があったのは信州中野発長野行きの普通列車です。

当日天候が悪く、列車は手前の北須坂駅に到着した際、運転士から「風が強く、雨も激しく前が見えない」と連絡があり5分ほど駅で停車したあと運転を再開。

その後、5分遅れで運行し、須坂駅から日野駅の間で事故が起きます。
列車は、時速およそ60キロで走っていたといいます。


運転士が線路内に小屋があるのに気が付き、非常ブレーキをかけたものの間に合わなかったということです。

住民は:「車に乗って駐車場にいたが、降りようとしたらあたりが見えないくらいの雨と風ですごい勢いで降って、ひょうも降ってきて、その風が落ち着いたころに家に入った。しばらくして電車が走ってきて停まった感じ」

停車した列車の脇には鉄パイプと黒いシート。青いトタン、木材などが残されていました。写真を撮った乗客は2両目に乗っていて「脱線したのかと思った」といいます。


警察によりますと、列車と衝突したのは、「単管パイプ小屋」と呼ばれるものです。

住民は:「(飛んだのは)単管ので(縦横が)4×4メートルで高さは3メートルくらい。北向きに片流れで電車道の方を低く、ブルーシートでぐるっと囲って入口だけ入れるようにしていた」

近所の人は、トラクターを止めておくための農機具小屋が突風で飛んだのではないかと話します。


22日は、国の運輸安全委員会の鉄道事故調査官が事故があった列車の状況や現場を確認しました。

運輸安全委員会 小澤隆之鉄道事故調査官:「一つ一つ決めつけずに現段階ではきのうの状態がどうであったかという真実をこの初動調査で確認して、いろいろなデータを集めたうえで分析していきたい」


国土交通省によりますと、列車の運転により乗客が死亡した事故は、2005年に山形県のJR羽越線で局地的な突風が原因で特急列車が脱線し、5人が死亡して以来だということです。

警察は、突風で飛ばされたと見られる農機具小屋がどのように固定されていたかなどを確認するとともに、男性の死因などを調べています。