2025年春にスタートしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』は、人気絵本シリーズ「アンパンマン」を生み出したやなせたかしと妻・暢をモデルとした作品です。作者の壮絶な人生と、作品に込められた深いメッセージに関心が高まるなかで、「アンパンマン」はビジネス分野でも今改めて注目されています。

年間1500億円、累計6兆円ともいわれる市場規模を誇る「アンパンマン」。大人も唸る奥深い世界と、今後の海外展開の可能性とは? 「アンパンマン」の知られざる魅力と、その巨大な経済圏について、エンタメ社会学者の中山淳雄さんに聞きました。

<東京ビジネスハブ>
TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は2025年4月27日の配信「お化けコンテンツ『アンパンマン』。今年ビジネス的にもアツい理由とは(中山淳雄)」を抜粋してお届けします。

年間1500億円!「アンパンマン経済」の驚異的な規模

野村
今回のテーマは「アンパンマン」。今年改めてビジネス分野でも注目されているコンテンツ、『アンパンマン』について解説いただきます。

中山
NHK連続テレビ小説もあるということで、1年ほど前にアンパンマンに関する記事を書いたのですが、「アンパンマン」の経済市場は年間1500億円で、累計では6兆円から7兆円にものぼっています。

野村
すごい市場規模ですね。

中山
キャラクターの認知度などを調査した結果では、「アンパンマン」の認知度は約98%というデータがあります。「ドラえもん」、「アンパンマン」、「クレヨンしんちゃん」といった国民的キャラクターは特に突出しています。逆に「知らない2%は誰なのか」と思うくらいです。特に0歳から2歳への浸透度が非常に高いんです。

その浸透度の高さを探っていくなかで、Podcastの「コテンラジオ」などでも取り上げられているのを知り、作者のやなせたかしさんの人生の歩みに感動して記事を書いた、という経緯です。

やなせさんが2013年に亡くなられてからも、「アンパンマン」は日本で浸透していますが、実は海外では最近になって広がっているんです。

野村
海外にも進出しているんですね。

中山
これまではあまり海外展開されていませんでしたが、ちょうど2023年ぐらいから動きがありました。

それが私も注目するきっかけだったのですが、中国で「ウルトラマン」などを手がけているSCLAという大きな会社がアンパンマンを中国で展開すると発表したんです。「ドラえもん」も「クレヨンしんちゃん」も「名探偵コナン」も人気だし、「次はアンパンマンではないか」という機運が高まっています。

こうしたビジネス的なきっかけもあり、2025年にはNHKでドラマが始まるというのが、この2、3年で一気に進んだ感じですね。