こうした文化を脅かしているのが川魚を餌とするカワウです。


諏訪湖など、県内各地で姿が確認されていて、上田地域でも10年ほど前からその数が増加。放流されるアユのうち、実に7割近くが食べられてしまうといいます。

組合では放流後、漁解禁までの1か月以上、毎朝花火などを使って追い払っていますが、なかなか効果があがっていません。

これ以上の被害を防ごうと、あの手この手の対策が始まりました。

上小地域で、今年から本格的に導入したのが、市内の梱包資材の製造業者が開発した幅3センチ、厚さ0.1ミリのプラスチック製のバンドです。


巴工業 掛川倖太郎さん:「視覚でも効果があるようにピンク色をしている。感覚器官くちばしや羽に当たったとき痛みを感じる製品。鳥は賢いので同じ対策をしても慣れてしまうが、痛みは慣れない。ここは危ないと学習させて今後近寄らなくなることを期待」
上小漁業組合 西沢徳雄さん:「漁協としては何千万匹も放しているアユですから、ただ花火で脅かしても、1時間もすればまた戻ってきてしまう。最後の切り札というか」


一方、隣の佐久地域でも、カワウの被害が深刻です。

佐久市内にある水力発電のための貯水池のわきにコロニーが出来上がっていて、木々にはおよそ100個の巣があるといいます。

佐久漁業協同組合 佐藤一英副組合長:「カワウは天敵がいないのでここ十数年ずっと増えて600羽くらいここに生息しています。(放流した)アユは3分の1から半分くらい食べられる」


佐久漁協は、4年前からドローンを使った撃退にのりだしました。

機体から吊り下げたドライアイスを巣の中に投下し、卵の温度を下げることで羽化しなくなるといいます。

佐久漁業協同組合 佐藤一英副組合長:「ここにありますね。卵のかけらです。巣の中に生体反応のない卵があるとそれを親が全部かきだす」

例年3月からおよそ2か月間、駆除作業を実施。

この日は効果を確かめるためにドローンで調査を行いましたが、およそ50個の卵が巣からなくなってることが確認できました。


佐久漁業協同組合 佐藤一英副組合長:「労力としては大変ですけども、佐久は伝統漁法・投網とかが盛んだった。今半分くらいに減ってしまった。なんとか駆除をしていい漁場を提供して特別漁業を復活できるようにと」

守り伝えられてきた伝統の食文化。
1日働いた大学生たちはウグイの塩焼きを頭からパクリ。

大学生:「めっちゃおいしいやわらかい」
大学生:「昔からあるものを今の文化も取り込みながら、今に残していくというのは並々ならぬ努力。素晴らしいの一言に尽きる」

上小漁業組合 西沢徳雄さん:「きょうの生徒たちは川にもけっこう入ってくれた。上田の文化である千曲川をどこかでまた思い出してもらったり、もちろんつらいこともあるけど、僕らの産業に入ってきてもらえればいいなと」