ボランティア駅長が駅舎を『駅ナカ婚活相談所』として活用

 コアな鉄道ファンの心をわしづかみにしたキハ40。しかし、北条鉄道は利用促進をキハ40だけに頼っているわけではありません。レトロな情緒あふれる駅舎を利用し、各駅に地元の米を使ったパン屋さんやギャラリーなどを開設。乗るだけではない楽しみ方でお客さんを呼び込む作戦です。
 長駅には、凛々しい制服に身を包んだ男性の姿がありました。北条鉄道の社員と思いきや、ボランティア駅長の田中貴之さんです。

 (長駅のボランティア駅長 田中貴之さん)
 「制服の帽子はちょっとサイズが大きいですね。周りから駅長さんって見られるので、駅長の立ち振る舞いをしないといけないなというのはあります」
 北条鉄道では無人駅の駅舎を有効活用できないかと、ボランティアで駅長をしてくれる人を募っているのです。駅長が駅舎をどう使うも自由。田中さんの活用方法は…。

 (長駅のボランティア駅長 田中貴之さん)
 「駅ナカという文字を使って『駅ナカ婚活相談所』」
 婚活をサポートするNPO法人を運営している田中さん。これまでにここで出会った鉄道ファン同士がカップルになるなど4組がゴールインしたといいます。
 せっかくなので記者も体験してみることにしました。
   (記者)「相手の年齢は自分と同い年から何歳くらいだろう…50歳でもいいか」
 (田中さん)「お仕事始められてから出会いはありました?」
   (記者)「ないですね」
 (田中さん)「仕事柄ないのか、プライベートもないですか?」
   (記者)「どっちもないですね」
 (田中さん)「そうなんですね。積極的に出歩いたりはされています?」
   (記者)「特にはしていないですね。出不精なので」
 (田中さん)「まずそういうところですよね、直さないといけないのは」
   (記者)「はい」

 大事なのは自分から動くこと。田中さんのアドバイスに熱が入ります。

 (田中さん)「相手の方が年上であろうがあまり物怖じしない。すごくいいところじゃないですか。ということは(記者の)結婚相手は20代~50代までいらっしゃるわけでしょ。ものすごい数の方と知り合えるチャンスがあるということじゃないですか」
   (記者)「前向きになりました。出会えそうな気がします」

 「駅ナカ婚活相談所」は初回相談無料で2時間制。2回目以降の相談・お見合いは別料金だということです(会員費3000円/月)。
 あの手この手で沿線の活性化を図る北条鉄道。もう“お荷物”とは言わせません。

 (北条鉄道 坂江大宗さん)
 「ずっと乗りに来てくださる方も大切にしたいですし、でもやっぱりそれだけでは足りない部分もあるので、新しい乗客を呼び込むアイデアを今まさに皆で考えながらやっています」

 鉄道ファンも地元の人も巻き込んで…。北条鉄道の奮闘は新しいローカル線のあり方を示しているのかもしれません。