12秒台へ重要なのは2、3台目とリラックスしながら加速すること
GGPにはメダリストも出場しないし、村竹とともに日本記録を持つ泉谷駿介(25、住友電工)も、110mハードルへの出場を取りやめ走幅跳に出場する。13秒09を持つオーランド・ベネット(25、ジャマイカ)の欠場も発表された。自己記録2番目はディラン・ピアード(26、米国)になる。ピアードは昨年13秒10をマークした選手で、今年の室内では60mハードルで7秒38と、今季世界2位のタイムを出している。油断できない相手だが、泉谷とベネットの欠場で村竹が優勝候補筆頭なのは間違いない。
山崎コーチが興味深い話をしてくれた。
「中国では3、4台目の加速局面でティンチに前に行かれて、ウワっとなってしまいました。加速するためにアクセルを踏むところで、歩幅が大きくなってハードルが近くなり、ブレーキも踏んでいるような動きになったからです。それでも13秒1台が出せるのは、技術的なところが下がってもカバーできるものを村竹が持っているからです。それが彼の国際大会での強さだと思います」
GGPではピアードがどの程度のスピードで前半を走るか未知数だが、ティンチのように加速局面で村竹の前に行く選手がいないかもしれない。そうなると2、3台目とリラックスしながらスピードを上げられることになる。
「1台目で抜けてしまえば、(上海紹興大会と違って)自分のペースで刻んでいけます。2、3台目で抜け出す展開に持ち込めれば、そのまま行く可能性がありますよ。大会前の練習も、中国の時より全然良いです」
ハードル種目は10台のハードルが設置され、誰がリードしているかがよくわかる。村竹が2、3台目で勢いよく後続を引き離していくようなら、フィニッシュ直後のタイマーにも注目してほしい。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)