飼育世界最長記録の背景には何があるのか。美ら海水族館・海獣課の黒須柚衣さんが、その舞台裏を案内してくれた。

黒須さんがオキちゃんとムクに初めて会ったのは、高校生のころ。当時からイルカの飼育員になりたかった黒須さんは、修学旅行で訪れた美ら海水族館で、オキちゃん劇場に夢中になった。観覧に誘った友人からは、あまりの熱中ぶりに驚かれたそうだ。
夢を叶え、イルカ担当の飼育員となって6年。「オキちゃんとムクからするとつい最近のこと」だと謙遜する。
黒須さんたち飼育員の最初の仕事は、朝一番の給餌と健康チェックだ。胸びれや尾びれにケガはないか、体温は正常かなどを個体ごとに細かく確認する。
「タイミングは必ず朝一番最初の給餌。できるだけ固定するようにしています。イルカショーの後だと、運動した後なので体温が普通の時より高い可能性がある」
「(朝一番でのチェックには)もう一つ利点があって、例えばめちゃくちゃ熱があるよ、となった場合に、早くいろんな検査ができる。熱が高いので採血しましょうとか、ひどい場合はプールに移動しましょうとか」

美ら海水族館では現在、4種類17頭のイルカを飼育しているが、黒須さんはオキちゃんが発熱したのを見たことがないそうで、その頑丈さに舌を巻く。