宮城県が主導する4病院の再編構想で、仙台市にある東北労災病院の移転が白紙となったことを受け、仙台市医師会は、市内の救急医療を担う病院の態勢が維持されたとして安堵感を示しました。

東北労災病院の富谷市への移転に当初は反対していたという仙台市医師会の安藤健二郎会長は、移転断念は、将来を考えての判断だったのではないかと話します。

仙台市医師会 安藤健二郎会長:
「(移転は)地域の医療のネットワークを構築していかなければいけないので、すごく大きな決断。結果的には仙台に残るということで、ホッとしたというのが正直な感想」

東北労災病院の救急車の受け入れ=初期救急の受け入れは、年間およそ4000件に上っていて、現地で存続する東北労災病院の果たす役割に期待を寄せます。

仙台市医師会 安藤健二郎会長:
「仙台の初期救急は課題が大きいが(東北労災病院は)非常に大きな役割を果たしているので、ますます充実させてもらって、富谷の人も十分に受け入れられる距離なので、しっかりやってもらいたい」

富谷市が仙台医療圏から別の病院を誘致するため、公募に乗り出すことについては、病院経営の現状などを考え、「気軽に移転できるものではない」と指摘しました。

仙台市医師会 安藤健二郎会長:
「数十年後の人口の在り方とかさまざまな要素を考えて、移転の計画を立てていかなければいけない」

その上で、仙台医療圏や東北全体の医療態勢を守っていくため、今後の医療の在り方を考えていかなくてはいけないと語りました。

仙台市医師会 安藤健二郎会長:
「東北の人口減少がますます進むと、仙台市の医療がより大きな責任を持って全体をカバーすることが必要になると予想している」