■木造復元に向け調査中 “立ち入り禁止”天守閣内部へ

私たちは今回、特別に許可を得て閉鎖された天守閣の内部へ。

この中に戦後の名古屋を象徴するあるものが残されているといいます。
CBCのカメラが入るのは、2018年の閉館以来、実に7年ぶりです。

(原さん)「じゃあ、開けます」
(大石)「中は、やはりヒンヤリしていますね」

まず目につくのが、シートに覆われた、“金シャチ”の実寸大レプリカ。

(大石)「7年の歳月なんですかね、ほこりかぶっていますね」

雌雄であわせて2トン以上。使われた金は88キロ。
火除けの守り神として、城の屋根を飾る金シャチ。

(大石)
「金シャチ、名古屋空襲の時は焼けたんですよね?」
(原さん)
「本当は疎開しようと思って、おろしている最中だった。でも降ろす時の足場に焼夷弾がひっかかって、天守もろとも燃えてしまったわけなんです。金の塊としては残ったんですけども、それも米軍に接収されてしまった」

炎上する天守閣の写真。
その様子を伝えるのは1枚しか存在しません。撮影時間は、朝の8時ですが、立ち上る黒煙で周囲は夜のように暗かったといいます。

撮影したのは、当時、陸軍の報道部に所属していた岩田一郎氏。
その“最後の瞬間”をこう手記に残しています。

"真っ黒といっても過言でない黒い空に真っ赤な炎が何十メートルと天に立ち上る姿は、なんと表現したらよいか・・・。300年の歴史を秘めたお城が空の魔物に吸い上げられるように、天高く舞い上がっています。悲しさを忘れて神々しいまでの美しい雄姿でした”

焼け落ちた天守は、1959年、戦後復興のシンボルとして鉄筋コンクリートで再建されました。そして今は、木造復元に向けて、石垣の保全と、地盤の調査が行われています。