宮城県内では田植えが進んでいますが、ここ数年、温暖化によるイネの高温障害で、コメの品質や作柄の低下が懸念されています。これまで「ササニシキ」や「ひとめぼれ」などを誕生させた大崎市の県古川農業試験場では高温に強いイネの試験栽培が12日から始まりました。

宮城県古川農業試験場 増田秀平研究員:
「県では従来より高温に強いイネの開発を続けてきたが、ようやく最近の猛暑でも耐えられるようなコメができてきた」

県古川農業試験場で試験栽培が始まった「東北247号」は、夏場の高温にも耐えられる新たな県の優良品種を作ろうと、交配が始まった2018年から改良が続けられています。

宮城県古川農業試験場 増田秀平研究員:
「高温になる年が多くなってきたので、それによってコメの品質低下が問題となってきたことが(品種開発の)大きな理由」

12日は、4月18日に種まきをして育てられてきた長さ12センチほどに育った苗が試験場内の田んぼに植えられました。高温に強いイネの開発が進む背景には、地球温暖化に伴う気象状況の変化があります。イネは、穂が出た後の登熟期に高温が続くと、十分に栄養を蓄えられず、コメが白く濁る「乳白米」が増えます。それによって、最終的にコメの品質が低下したり収穫量が減少したりしてしまいます。そのため、品質や収穫量を安定させるためにより高温に強いコメの品種が求められています。

宮城県古川農業試験場 増田秀平研究員:
「今後、草丈や倒れやすさ、病気に強いかどうかなどを見ていき実際に収穫を行い、最後に味を確認するところまで調査する。従来のひとめぼれよりも品質のいいコメがとれることを期待している」

県古川農業試験場では12日に植えた「東北247号」を一般的なひとめぼれなどと同じ条件で育てながら生育状況を比較することにしていて、早くて5年後の普及を目指しています。