特集はスタートアップについてです。スタートアップは新たな技術を生かして革新的な事業を展開する新興企業を指します。宮城県内にあるスタートアップ企業が開発した医師の技能向上を図る先端装置とその支援の動きについて取材しました。
■「スタートアップ」企業が開発した謎の箱とは?
仙台市に研究開発の拠点を置く「ブループラクティス」。

この企業が手掛けるのが透明な箱です。中には不規則に伸びる透明な管が収められています。いったい何に使うのでしょうか?

ブループラクティス 鈴木宏治社長:
「まさに人間の血管にそっくりな感触を再現できたということですね」

実はこの装置、人の血管のモデルなんです。

脳につながる首の血管、「内頸動脈」に、脳梗塞や脳動脈瘤の治療するため挿入するのが、カテーテルという細い管です。

まっすぐでも、太さが均一でもない血管の中に、できるだけ壁に触れることなくカテーテルを通していくのは、見えないだけに熟練の技を要します。装置は、医師が技を磨くためのものなのです。

小澤夕希子記者:
「人間の血管をほぼ再現したというこの血管モデルですが、触ってみますと非常に弾力があって、そして指に張り付くような粘り気を感じます」

ブループラクティスが血管モデルの素材に採用したのは、多くの企業が使用する「シリコン」ではなく、「ポリビニルアルコールハイドロゲル」という素材です。

この素材、東北大学の研究で質感や粘りが実物により近いことが分かっていましたが、乾燥しやすく、冷蔵で管理する必要があることが課題でした。「企業秘密」という別の素材でコーティングを施すことで課題を克服、製品化にこぎつけました。
さらに、カテーテルの操作を可視化する仕組みも開発しました。