北海道大学から生まれた宇宙ベンチャー企業が、超高性能のエンジン開発を進めている。機密情報が詰まった宇宙ビジネスの最前線、その現場は、廃校になった中学校にあった。

◇《宇宙ビジネスの世界市場規模は54兆円…北海道にも研究拠点》

空へ向かって飛び立つロケット。それは、遥かなる宇宙に想いを馳せる壮大なロマンだ。人工衛星を使ったビジネスなど、宇宙産業の市場規模は世界で54兆円にのぼる。

今後グングンと伸びていく成長産業だが、ここ北海道の宇宙ビジネスの最前線があった。そこでは、人工衛星を目的の位置に配置したり、移動させたり出来る、超高性能エンジンを開発しているという。

記者の手に乗るようなサイズの物体が、開発中のエンジンの一部だという。しかし、その全体像は極秘のベールに包まれていた。

◇《廃校となった中学校で超高性能エンジンを開発》

超高性能エンジンの開発を進める現場は、北海道空知地方のこんなマチにあった。

藤田忠士記者
「うーん。滝川といえばなんといってもこの味付けジンギスカンですが、いま、注目を集める企業が滝川にあるんです」


北海道滝川市。マチの中心部から15分ほど車を走らせると、宇宙ビジネスの開発現場が見えてきた。

藤田忠士記者
「旧江部乙中学校、ここがレタラの開発拠点です」

廃校になった中学校の旧校舎を拠点に、高性能エンジンの開発を進める『レタラ』。北海道大学が2020年に認可した、宇宙開発ベンチャーである。

旧江部乙中学校(北海道滝川市)







開発にあたる若きエンジニアは約80人。北海道大学のOBや学生、そして海外からの留学生が多くを占めている。

Letara(レタラ)糸魚川大和さん
「ロケットを載せて実際の振動を模擬して、ロケットの振動に耐えられるかテストする」


Letara(レタラ)の共同代表を務めるのは、平井翔大さんと、アメリカ人のケンプス・ランドンさん。ともに北海道大学で、宇宙工学の研究者を学び、この宇宙ベンチャー企業を立ち上げた。

Letara(レタラ)共同代表 ケンプス・ランドンさん
「宇宙は何もないから簡単に動けるイメージだと思うが、たとえば人工衛星が“東京の上にいるけれど、本当は札幌を観測したい”となったら、変更にはすごい燃料が必要になる」「弱いエンジンでやろうとすると、何か月間もかかかるので、とてもビジネスにならない」