ワインに関する専門家といえば“ソムリエ”が有名ですが、フランスの大学で学ばないと取得できない『ワインの資格』があるんです。
その資格を持ち、長崎にワイン文化を根付かせようとするワインの専門家を取材しました。自分好みの銘柄の見つけ方も聞きました。

まもなく11月。秋は世界中でワインの新酒が解禁され、様々なワインを楽しめるシーズンです。

そのワインを本場フランスで学んだスペシャリストが長崎にいます。
■ フランス ボルドー大学で取得するテイスティング資格『DUAD』

ワイン専門店 ラングドッカン 川原 暢和さん(38):
「素晴らしいクオリティのワインを安くで仕入れて販売できるっていうところが私の強みですね」
自分に合った1本を見つけてくれる町のワイン専門家です。
長崎市城山町の住宅街にあるワイン専門店「LANGUEDOCQUIN(ラングドッカン)」

店内にはフランス産のワインを中心に、1,000円台からのワイン200種類が並びます
この店の代表を務めるのが38歳の川原 暢和さんです。

ワインの資格を10種類持つ川原さんは、日本ではソムリエよりも持つ人が少ない”ある資格”を持っています。

ワイン専門店ラングドッカン川原 暢和さん:
「正式名称が Diplôme D'Université d’ Aptitude à la Dégustation des vinsですね」
略してDUADと呼ばれるこの資格。取得した15年前は日本にわずか50人ほどしかいなかったそうです。

川原さん:
「フランスのボルドー大学で取れる資格になりまして、“テイスター”としての資格になります」
1年かけて高度なテイスティング技術を学ぶDUAD。

レストランなどで働くソムリエに対し、DUADは酒店や、酒造メーカーの人が多く、授業では“ワインの表現の仕方”を学びます。

川原さん:
「“色合い”が軽いのか──とかですね。“軽さ” “濃さ” あとは“綺麗なのか”とかですね。『表現の的確さ』っていうのが一番に求められます」
■ 父の姿を追い単身 フランスで学ぶ

佐賀県唐津市で生まれた川原さんがワインの道に進んだのは、父・和夫さんの影響でした。

川原さん:
「高校2年生から3年生に上がるタイミングでお父さんが亡くなっちゃったんですけど、お父さんも酒屋さんで、特にワインに力を入れてやっていたので」

父親と付き合いがあったワイン関係者からの支援もあり、川原さんは日本の大学には進学せずに、単身フランスへ。現地で本場のワインを学びました。

川原さん:
「僕が未成年のうちに亡くなってしまったので、酒屋さんなんですけども、一緒に酒を酌み交わせなかったのが一番…父親も心残りだったんじゃないかなと思っています」

ワインに詳しかった父の姿を追い、ワインの専門家になった川原さん。
店を開いて4年で長崎市内およそ100の飲食店と取引するまでになりました。

川原さん:
「(長崎は)ワイン文化としては、まだまだ『伸びしろがある市場』であるかなと思ってます」

卸先の一つ長崎市のレストランバー『コルドーネ』です。

クラシカルな雰囲気の店内でおよそ80種類のワインとイタリア料理が楽しめる人気店です。
川原さんとは10年の付き合いというソムリエ エクセレンスの濵田さんは、川原さんに大きな信頼を寄せています。

レストランバー コルドーネ 濵田 弘昭 店長:
「自然派というワインから、クラッシックという昔ながらのワインまで幅広く扱ってくれるので…。
チョイスも上手ですし、ものすごく選びやすい。お客さんにも提案しやすいワインが多いです。」
■ 川原さんおすすめのワインは──


川原さん:
「おすすめのワインはこちらですね。プレーニュ・ル・ヴィユ というラングドック地方──フランスの南フランス(のワイン)ですね。」
直接フランスの生産者と交渉して仕入れた、日本の店舗ではここでしか買うことができないという赤ワインです。

川原さんに、このワインをフランス語で表現してもらうと──

川原さん(フランス語で):
「香りの段階では、非常にフルーティーでカシスであったり、黒系の果実、黒系のベリーの香りがある。
味わいとしては、非常にフルーツの香りがしっかり出ていて、タンニンの渋みと酸味と味わいのバランスも非常に素晴らしく、とても美味しい」
豊富な知識と経験で、ワインを表現する言葉を紡ぎます。

川原さん:
「ここにできるワインの足…涙っても言うんですけど…」
住吉 光キャスター「ワインの涙!おしゃれ。ここですか?」

川原さん:
「濃厚なワインほどこの足が落ちるのが遅い」

住吉:
「…美味しい美味しい。スモーキーな感じなんすけど、木の香りのような奥深さを感じられる濃い目の濃厚なワインです。これ」

「フォエミネ ピノグリージョ(2021年)」は、その色から“オレンジワイン”と呼ばれています。

白ブドウを原料に『赤ワインの製法』を用いて作られたワインです。
川原さん:
「オレンジワインを探しにいらっしゃる方も最近は増えてきましたね」

白ワインのような香りと、赤ワインのような渋味を持つ飲みごたえのある1本です。
このほか、有機栽培のブドウを使い保存料を減らしたオーガニックワインも取り扱っています。
自分好みのワインを選ぶ際のアドバイスを──

ワイン専門店 ラングドッカン 川原 暢和さん(38):
中長期的な見方をしますと、やっぱりワインって ものすごく種類があるので、『自分が好きなブドウの品種』を見つけるっていうのが一番の近道になると思います。
白と赤で、それぞれ主要なブドウ品種 3種類を試してみてください。

白ワインが──
★ シャルドネ
★ ソーヴィニヨン・ブラン
★ リースリング

赤ワインは──
★ ピノ・ノワール
★ カベルネ・ソーヴィニヨン
★ シラー
──この3種類ですね。
■ 長崎で1万人集まる“ワイン会”を開きたい

コロナ前はお店でワインの試飲会を開き、難しく思われがちなワインを気軽に楽しめるよう取り組んできた川原さんには、次の大きな夢があります。

川原さん:
「もう長崎の方々にワインを楽しんでもらうためにですね。1万人ぐらい集めて、大きな会場でワイン会をしたいですね。」
本場で得た知識と情熱をかけ合わせ、長崎に新たなワイン文化を根付かせようと川原さんは走り続けています。