十両か幕下か そのはざまで戦う炎鵬と朝乃山
「番付一枚違えば家来同然 一段違えば虫けら同然」
角界に古くからある格言ですが、明確な実力主義、タテ社会であることを端的に表しています。最もその差を痛感させられるのが「十両」とその下の「幕下」です。
力士になると序ノ口から始まり、一番上が横綱になりますが、それまでに段階を踏んで出世をしていくことになります。
十両というのは「関取」と呼ばれる地位で、力士として一人前と認められます。その下の「幕下」まではいわば半人前の扱いです。

十両になれば月給は110万円で、個室が与えられ、付け人がつくなどの待遇になります。
一方で幕下には給料ではなく場所ごとの手当が支給される程度で、ほかの若い衆と一緒に大部屋で寝る生活をします。十両と幕下では天と地ほどの待遇の差があります。
ちなみに、十両以上なら「○○関」と呼びますが、幕下以下は「○○さん」です。ファンにサインができるのも十両以上の関取にのみ許されています。幕下以下の力士のファンサービスは握手や一緒に写真を撮るなどが一般的です。
力士になる者がまず目指すのがこの「十両」で、関取になるのが土俵人生で最もうれしい瞬間だったと答える力士は多くいます。
十両はおろか、その上の地位を経験した2人の力士が夏場所ではしのぎを削ることになりそうです。西幕下10枚目で金沢市出身の炎鵬(伊勢ケ浜)と西幕下14枚目で富山市出身の朝乃山(高砂)です。