スピードスケート1000mの元世界記録保持者で五輪金メダリストの小平奈緒(36)が27日、都内で引退会見を開いた。

ベージュのスーツ姿で会見場に入った小平は会見冒頭「先日22日におかげさまで無事に競技人生、最後のレースをまっとうすることができました。数日経った今も夢のようで、毎朝、ほっぺたをつねって現実だったんだなと確認するような毎日です。氷上にまたあの空間に私の表現できるすべてを描けたと思いますし、なにより、あの場にいたすべての人がその空気を作り出してくれていたと言うことを思うと、今も心がふるえます」と挨拶した。

途中、関係者への感謝を述べる際に声を詰まらせた場面もあったが、晴れやかな表情だった。
「山あり谷ありのジェットコースターのような日々だったなと思っています。そのたびに多くの人に支えていただいて、一度も後ろを振り向くことなく、常に前を向いてこられたなと、今、振り返ると前しか向いて無かったなという思いでがあります」と30年の競技人生を振り返った。
会見にはオランダと韓国からもメディアが駆けつけ、小平はそれぞれの言語で感謝を述べた。

今後については「相澤病院に所属しながら皆様の近くで地に足を着けた活動をしていきたい」と小平。「出身大学でもある信州大学から特任教授を拝命することになりました」と明かし、1年生を対象としたキャリア形成や健康科学に関する授業科目の1部を担当するという。1月に最初の教壇に立つ。

その他にも子どもたちとスケートを通した交流や、企業や学校での講演会を予定しているといい「慣れ親しんだ氷の上とは違い、慣れない舞台での活動が増えてくるかと思いますが、知るを楽しむ、ということと、唯一無二の自己表現というテーマを引き続き探求していきたい」と力強く語った。 

小平は今年4月に会見を開き、今月22日に地元・長野で行われた、距離別選手権を最後に現役を引退することを表明。500mに出場し優勝していた。

4大会連続で五輪に出場し、平昌大会500m金メダル、1000m銀メダル、バンクーバー五輪団体パシュート銀メダルと3つのメダルを獲得するなど、スケート界をけん引してきた。

■小平 奈緒(こだいら・なお)
1986年5月26日生まれ、36歳。長野出身。社会医療法人財団慈泉所属。北京五輪の500m17位、1000m10位。18年平昌五輪500m金メダル、1000m銀メダル、1500m6位。14年ソチ500m5位、1000m13位。10年バンクーバー500m12位、1000m5位、1500m5位。団体パシュート銀メダル。