水俣病の認定を求めて熊本県宇城市の男性が提訴した裁判が4月23日に始まり、男性が意見陳述しました。
この裁判は、熊本県水俣市出身で、現在は熊本県宇城市で暮らす大戸迫 智(おおとさこ さとし)さん(59)が、熊本県に対し、水俣病の患者と認定するよう求めたものです。
訴状などによりますと、大戸迫さんは幼いころから首が据わるのが遅いといった症状があり、水俣病患者を診てきた医師からは「胎児性水俣病の疑い」と診断されています。
1975年と2007年に患者として認定するよう申請しましたが、いずれも県に棄却されました。

また、2016年には国の公害健康被害補償不服審査会に申し立てましたが、去年(2024年)3月に棄却の裁決が出たことから、9月に、認定を求めて熊本地裁に提訴しました。
姉の訴え―― 第1回口頭弁論
23日の意見陳述で、大戸迫さんは小学生になってもうまく歩けなかったことや、現在も手足のしびれがあることなどを話し、「水俣病と認定してほしい」と訴えました。
また、大戸迫さんの姉・坂本みゆきさんも、「母は弟を妊娠している時に、不知火海などで獲れたアサリを使ったみそ汁を毎日のように食べていた」「弟が生まれた後も父が釣って来た魚などを毎日のように食べていた」と述べ、弁論は終了しました。
一方で、被告の熊本県は「水俣病との因果関係が明らかでない」として棄却を求めました。